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知性と教養は経済を回す

2015年3月6日(金)

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 書店チェーンのリブロが、西武百貨店池袋本店に構える本店を6月で閉店するのだそうだ(ソースはこちら)。

 残念なニュースだ。

 しばらく前から撤退の噂が流れていることは知っていた。
 私は本気にしていなかった。
 リブロの池袋店は、いつ通りかかっても活気のある店舗だったからだ。

 もうひとつ、私が閉店の噂を信じなかった理由は、西武百貨店にとって、リブロが、ブランドイメージ(←西武グループが単なる商品を売る企業ではなくて、情報を発信しライフスタイルを提案する文化的な存在であるということ)を維持する上で、不可欠なピースであると考えていたからだ。

 フロアマップの中にきちんとした書店を配置していない百貨店(モールでも同じことだが)は、長い目で見て、顧客に尊敬されない。まあ、書店を必要としないタイプの客だけを相手に商売が成り立たないわけでもない。それはそれでやって行けるものなのかもしれない。が、立ち回り先に本屋が無くても平気なタイプの客は、店舗に対して値段の安さ以外の要素を求めない買い手であるはずで、だとすると、顧客に対面して商品を直接販売する百貨店のような業態は、この先、店舗負担と人件費を要さないネット通販のチェーンに、早晩駆逐されなければならない。

 本屋は、本を販売するだけの店ではない。
 それが入店しているモールなり百貨店なりに、単なる商品の売買とは別次元の付加価値をもたらす施設だ。
 その意味で、書籍を売る売り場が無くなることは、その百貨店が「なじみの本屋を定期巡回する流れでフロアに流れてくる客」を失うことを意味している。

 と、そこで起こることは「庇(ひさし)を貸して母屋を取られる」の逆パターンのなりゆきになるはずだ。

 庇を切り取った建物は、風雨の侵入を防ぐことができない。
 日差しを防ぐことも紫外線による侵食を阻むこともできなくなる。
 居住部分だけでできた建物は、崩壊が早まることを免れ得ない。

 リブロ本店閉店の噂を語る人たちが決まって指摘していたのは、道を挟んですぐ向かい側にある、より蔵書数の多い大型書店(←ジュンク堂池袋本店)と商圏が重複していることだった。

 ほとんど同じ場所に、同じような大型書店が2軒並んで店を構えているのは、資源の無駄だというわけだ。
 しかし、その考えは、いささか古いかもしれない。

 昨今では、飲食店でもアパレルでも、同じ顧客をターゲットとする同業のライバル店舗が、同じ街の狭い地域に、あえて隣り合って立地している例が珍しくない。

 なぜそんなことをするのかというと、同じ業種の店が集中することで、顧客の側には見比べるメリットが生じるからで、事実、限られた一角に同じタイプのファストファッションの店が軒を連ねている原宿や、都内のどこよりももんじゃ焼き屋が集中している月島では、その一極集中の様相が、客を奪い合う結果よりは、遠くから顧客を呼び寄せる効果を生み出している。

 私の見るに、池袋のジュンク堂とリブロは、互いに補完し合う形で共存していた。
 客の側から見て、2軒の書店が、品揃えの個性を競っている方が、1軒で孤立しているより魅力的に見えるということだ。

 本を買う客は、目当ての本を買い求めるためだけに書店を訪れているのではない。
 本好きの客は、書籍の背表紙がずらりと並んでいる景色を眺めるだけでうっとりすることができる人々だ。

コメント53件コメント/レビュー

この手の話の時にコメントで出てくる発言の繰り返しで僕の独創ではありませんが . . . 選挙権を行使する以上、歴史・政治・経済・法律・権力・国家・民族・差別・平等・正義・科学・宗教・技術などなどなどなどについて深く考察する力を持っているべきである、というか、持ってない人に選挙権を行使されると迷惑である、従って、万人が「教養」を身につけるべきである、と言っていいと思います。そういう「教養」に、例えば、テレビドラマ程度の歴史認識で足りるもんなんでしょうか?(2015/03/08)

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「知性と教養は経済を回す」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

この手の話の時にコメントで出てくる発言の繰り返しで僕の独創ではありませんが . . . 選挙権を行使する以上、歴史・政治・経済・法律・権力・国家・民族・差別・平等・正義・科学・宗教・技術などなどなどなどについて深く考察する力を持っているべきである、というか、持ってない人に選挙権を行使されると迷惑である、従って、万人が「教養」を身につけるべきである、と言っていいと思います。そういう「教養」に、例えば、テレビドラマ程度の歴史認識で足りるもんなんでしょうか?(2015/03/08)

逆じゃないですか?経済的に豊かで余裕があるからこそ、教養とか芸術にお金を回せるんじゃないですかね。(2015/03/07)

日本人の一割は読書します。残りの九割は本を読みません。なので一割が金持ちで九割が貧乏です。GDPでは世界三位ですが、大学進学率では10位以下です。(2015/03/07)

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