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バリアフリーでデンジャラスな東京

2015年5月22日(金)

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 3月の半ばに入院してから、早いもので、2カ月が経過した。
 回復は、おかげさまで順調だ。
 とはいえ、退院までにはまだしばらく時間がかかる。

 今回は、足の不自由な人間から見た東京の風景について書いてみようと思っている。

 このまま順調にリハビリが進めば、何カ月か後には普通に歩けるようになる。そうなれば、私はどうせいま考えていることや感じていることを忘れてしまう。それはもったいない。せっかく、車椅子移動者として、ある意味得難い体験をしているのだから、いまのうちに気づいたことを書き留めておきたい。

 というのも、この先、あと20年もすれば、私はまた同じようにうまく歩けなくなる日を迎えるはずだ。その時のために、少しでも参考になる記録を残しておければというわけだ。

 歩けなくなる日々は、読者の皆さんの未来にも、間違いなく訪れることになっている。
 これは断言しても良い。

 ただ、突然死する巡り合わせの人間だけが、歩けない日々を経験せずに人生をまっとうするわけだが、それが良いことなのか悪いことなのかは、私にはわからない。ともあれ、あらかじめご冥福をお祈りしておく。

 現時点の回復状況を簡単にご説明する。
 痛みは無い。しびれもむくみも取れた。術後の抜糸もずっと前に終わっている。
 が、右足は依然として体重をかけることができない状態だ。
 なので、移動は、車椅子か、二本杖+一本足の尺取り虫移動に限られる。

 杖移動は、手軽ではあるものの、疲れる。
 一歩ごとに両腕で全体重を支えなければならないため、思いのほか体力を消耗する。
 おそらく、1ターンの最長航続距離は300メートルに届かない。

 途中で休憩を入れれば、もう少し先に行けそうではあるが、休む間も一本足で立っていなければならない以上、延長できる距離は知れている。とてもではないが、隣町までは到達できないと思う。まあ、ひいき目に見積もっても、現状の機動力は、4歳児程度といったところだろう。

 気の利いた4歳児なら、近所のコンビニで肉まんを買ってくる程度の仕事はこなせる。私にはそれすらできない。両手を杖によって塞がれている私は、荷物を持つことができないからだ。

 そこで、ダサいのを我慢してウェストポーチを装着している次第なのだが、いかんせんこの腰巾着は容量が小さい。財布とスマホとメモ帳を詰め込むとそれだけでいっぱいになってしまう。肉まんのためのスペースは無い。

 リュックを背負うという手があることはある。
 でも、欲張ってそのリュックにパソコンと充電器と飲み物と着替えを入れたりすると、たちまち積載量オーバーになる。

 重いリュックは危険だ。
 全重量を点で支える今の私にとって、重心の高いリュックにデジタルのガジェットを詰め込むノマドなライフスタイルは全面崩壊と背中合わせになる。転倒したら元の木阿弥。再手術と再リハビリが待っている。冗談じゃない。

コメント42

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「バリアフリーでデンジャラスな東京」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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