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笛が鳴らなかった反則について

2015年6月5日(金)

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 5月29日に行われた会長選挙で5選を果たしたばかりだった国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長が、6月2日、緊急記者会見を開いて自らの辞任を発表した。

 FIFAについては、つい1週間ほど前(5月27日)、米国の司法省が、米国が参加する国際大会のマーケティングなどをめぐる組織的な違法行為と贈収賄の罪で、関係者9人を含む計14人を起訴した旨を発表したばかりで、その先の捜査の行方に注目が集まっている状況だった。

 ブラッターさんとしては、自身の周辺に捜査の手が伸びるであろうことを悟って、機先を制した形なのだろう。
 まあ、来るべきものが来たということだ。

 FIFAは、私がサッカーを見るようになるずっと以前から、「伏魔殿」「腐敗の温床」「魑魅魍魎の巣窟」「賄賂の王国」と言われてきた組織だ。その、腐敗の殿堂に、はじめて本格的なメスが入ることになったと思うと感慨深い。

 考えてみれば、そこいらへんのマイナースポーツの田舎競技団体ならいざしらず、この21世紀の現代に、世界で一番人気のあるスポーツを統括する国際組織が、旧態依然の賄賂体質で動いていて良い道理はない。そういう意味からすれば、このたび、アメリカという、サッカー界ではさして発言力を持っていない国の司法当局が、真正面からFIFAの非紳士的行為にイエローカードを突き付けたことに、わたくしども非サッカー強国のサッカーファンは、拍手をおくらなければならない。

 サッカーに関する中心的な利権や思惑と比較的遠いところにいるアメリカの司法関係者なら、もしかして、これまでと違った態度で、FIFAの闇を暴いてくれるかもしれない。あるいは、結果的に、蟷螂の斧に終わるのであったとしても、FIFAの闇に手を突っ込もうとした勇気の価値が損なわれるわけではない。捜査関係者のみなさんには、ぜひ頑張ってほしい。

 サッカー界の腐敗は、昨日今日にはじまった話ではない。
 アメリカが参加する国際大会にかぎった問題でもない。

 私の見るところ、今回の起訴事案は、たまたま、アメリカの司法当局という、場合によっては大統領を弾劾することも辞さない、世界で一番空気を読まない組織の目に触れる場所で不正が発覚したから事件化されたということであって、起訴状に書いてある内容は、FIFA全体の腐敗から見れば、氷山の一角に過ぎない。

 とはいえ、ほんの一部であれ、腐敗の存在が白日のもとにさらされ、関係者に裁きが下されるのであれば、これは、画期的なことだ。

 今回の捜査と判決によってサッカー界の腐敗が一掃されるなどということはあり得ないだろうし、おそらくこの先も、FIFAの政治には、賄賂や情実が影響力を発揮し続けることだろう。

 が、それはそれとして、「運の悪い不心得者が処罰される」事態が招来されたことは、「誰も罰を受けない」状況がこれまで通りに続くことと比べれば、望ましい変化ではある。

 それに、ついでに言えばだが、「運の悪い不心得者が処罰される」という設定は、サッカー的に見て、極めて妥当でもある。

 すべての心悪しき者が漏れ無く咎められる世界では、サッカーは生き残ることができない。

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「笛が鳴らなかった反則について」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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