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幸いなるかな、撫子を愛でるもの

2015年6月12日(金)

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 なでしこJAPANを応援していると言うと、意外な顔をされる。
「あれ? 愛国者でしたっけ?」
 そういう話をしているのではない。

 なでしこのゲームは、きちんと追いかけて、真剣に観戦すれば大変にエキサイティングなのだということを私は言っている。各選手の利き足と得意なプレーを把握して、展開を予想しながら見れば、さらに興味深く応援することができる。

 と、私が口を酸っぱくしてかきくどいても、ネット上に蟠踞するサッカーオタクは冷たい言葉を返してくる。

「女子のゲームは、とにかくスピードとパワーが無いから見てらんない」
「だって、男子高校生のトップクラスとどっちこっちの実力なわけでしょ?」

 そういう問題ではないのだよ。

 サッカーファンの中には、レベルの高いゲームを見ている観客がレベルの高いファンで、水準の低いリーグの低レベルなサッカーを見ているサッカーファンはダメなサッカーファンであるとする、度し難いランク付け志向が内在している。

 私は、一部のサッカーファンが振り回してやまないこの一流信仰を、ある意味では、学歴信仰よりもたちの悪いものだと考えている。

 学歴主義や偏差値信仰は、有害かつ差別的な思い込みだが、最低限、本人が参加しているゲームでもある。

 ところが、サッカーファンが振り回してやまないトップランク志向は、単に観戦しているだけの人間が、他力本願のプレー水準を自分の実力と勘違いしている、夜郎自大の他者蔑視だったりする。

 彼らはJリーグをバカにし、アジアのサッカーを冷笑し、ヨーロッパや南米の選手であっても、主要国のリーグのトップクラスの数チームに在籍していない限り相手にしない。

「セリエAも最近は全然ダメだな」
「オランダとか下位チームのバックパス回し見てらんないし」
「スペインだって6位より下はひどいもんだぞ」
「まあ、それだってJリーグのピンボールサッカーよりはずいぶんマシだぞ」

 いったい何様のつもりなんだ?
 彼は、自分の口ぶりが、フェラガモの靴以外は靴じゃない式のコメントを開陳して恥じない絵に描いたような成金とまるっきり同じであることに気づいていないのだろうか。

 とにかく、その種の空疎なブランド志向を吹き飛ばすためにも、心と目玉の曇ったサッカーファンは、一度、しっかりとなでしこのサッカーを見て、そのひたむきさと、クリーンなプレーぶりに心を強打されるべきだ。
 そうしないと、腐れサッカー観戦者の腐った根性は、いずれ治癒不能な水準に到達して、二度と社会復帰がかなわなくなる。

 折しもこの6月は、カナダで、4年に一度の女子W杯が開催されている。
 これを見ないテは無い。

コメント43

「小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明」のバックナンバー

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「幸いなるかな、撫子を愛でるもの」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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