• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

キヤノン経営の真価を問う―
―電機・家電の低収益性を突き放せるか?

  • 若林 秀樹

バックナンバー

2006年4月3日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 3月10日、キヤノン(株価情報)の投資家アナリスト向け経営説明会に出席した。複写機やプリンターといった主力事業で圧倒的ナンバーワンの座を確保し、さらにオフィスやホーム領域などへの多角化を進め、現在の売上高3兆7000億円、営業利益5830億円(営業利益率15%)、当期利益3841億円を、2010年には売上高5兆5000億円、営業利益率20%、当期利益5500億円にするという。

仰天の業績目標、「2010年に営業利益率20%」

 その直前にSED(表面電界ディスプレー)パネルを搭載した薄型テレビの量産延期を明らかにしたが、御手洗冨士夫社長は「絶対にあきらめない」と執念を燃やしている。メディア報道の焦点がSEDに集中しているが、私は2010年の業績目標、特に「営業利益率20%」の達成可能性のほうが気になった。

 精密分野を担当する多くのアナリストは、これまでの実績から「不可能ではない」と考えているようだ。事実、中期経営計画の成果として、1995年度に7%だった営業利益率が2005年度には15%を超えた。あと5%の営業利益率改善は、不可能でないように思われるかもしれない。

 エレクトロニクス業界のアナリストにとって、営業利益率20%というのは驚異的な高水準である。総合電機(日立製作所(株価情報)、東芝(株価情報)、三菱電機(株価情報)、NEC(株価情報)、富士通(株価情報))では、シリコンサイクルの山でもせいぜい5%前後、IT(情報技術)バブルがピークに達した2000年度でさえ各社とも5%弱に過ぎなかった。1995年以降の10年間では、2%プラスマイナス2ポイントというところだ。

 家電大手でもそう大きな違いはない。ソニー(株価情報)は1996~97年の7%前後が最高で10年平均では3%プラスマイナス2ポイント、シャープは10年平均で5%プラスマイナス1ポイント、勝ち組と言われる松下電器産業でさえ10年平均で3%プラスマイナス1ポイントに過ぎない。

 広い意味でのエレクトロニクス業界では、キーエンス(株価情報)の50%を筆頭に制御計測系や独立系の部品メーカーなどで高い収益性を誇る企業もある。しかし、総合電機や総合家電において、営業利益率20%以上の事業など、一部のパッケージソフトや好況期における半導体メモリくらいしか見当たらない。

 営業利益率10%の事業となると、一部の通信機器、大型コンピューターのメンエテナンスやエレベーター事業がある。日立では、一時期の計測機器や自動車関連部品、東芝では半導体、三菱はファクトリーオートメーションくらいだろうか。韓国サムスン電子でも営業利益率20%以上を叩き出しているのは半導体と好況期の液晶くらいであり、セット製品はやっぱり収益性が低い。

 家電の王様と言えばテレビだが、液晶やプラズマで牽引してきた薄型テレビ市場は、まだ離陸期だというのに早くも過当競争に陥って収益性を悪化させている。国内電機メーカーのテレビ事業の営業利益合計は2005年度は2000億近い赤字であり、世界全体でも合計すれば赤字なのではないだろうか。多くのエレクトロニクスメーカーが低採算あるいは赤字に苦しみながらひしめき合っているテレビ事業に参入すれば、キヤノンといえども、20%もの営業利益率を達成するのは容易ではない。

「若林秀樹の「辛口市場主義」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

リクルートは企業文化そのものが競争力です。企業文化はシステムではないため、模倣困難性も著しく高い。

峰岸 真澄 リクルートホールディングス社長