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会社の価値は時価総額でなく信用で決まる

  • 神谷 秀樹

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2006年4月3日(月)

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 日本ではライブドアの幹部が経済犯として起訴されているが、米国ではエンロンの幹部たちが間もなく判決を受ける。エンロンの監査人だったアンダーセン会計事務所はこの事件の後、2002年に89年の歴史を閉じ廃業した。またエンロン事件に関与した多くの金融機関が10億ドル単位の罰金を支払い、司法当局との問題に終止符を打った。ライブドア事件の方は監査人を始めとする社外関係者による犯罪幇助の追及はいまだにされていない。そもそも会社自体が存続していることにおいてエンロンとは随分風景が異なる。

 一方、松下電器産業が事故を起こした石油ストーブを、物置の奥で埃をかぶっているものまで含め、日本中草の根分けて回収する努力を続けている。この話は1982年に米国でジョンソン・エンド・ジョンソンが何者かに毒入りタイレノール(頭痛薬)を売られ、7人の方が亡くなった時、直ちにすべてのタイレノールを回収したことを思い起こさせた。「自分たちの商品が人命を損なうということに耐えられない」。そんな誇りを持った会社であればこその英断であり、この2社の対応は、リコールをせずに事故を起こすと分かっている欠陥トラックを売り続けた三菱自動車とは対極にある。

 ライブドアとエンロンが行き着いた終着点。それは粉飾までして「時価総額を最大にすることが企業価値を最大にする」と勘違いした経営者が、自らの強欲を野放しにして経営した企業の末路である。片や松下電器とジョンソン・エンド・ジョンソンは、一時的に大きな損を出しても、信用を重んじるということに惜しみなく投資した。長期的に見て、どちらが企業価値を最大にしたのかは、論をまたない。

 投資銀行をニューヨークに設立して14年になる。この間、自分に言い聞かせてきたことは、「信用は築くに10年、壊すに1日。一度壊した信用を取り戻すには、倍の努力をしても足りない」ということだ。M&A(企業の合併・買収)の取り扱い規模で1位になることは目標に置いていないが、「倫理観の高さ」では、トップでなければならないと常日頃から心がけてきた。

 事業会社に比べて、金融機関は人様のお金を扱うだけに、信用については、とりわけ敏感かつ慎重であることが求められる。ここにも反面教師と教師がある。明治安田生命保険の外交員は病気であることを知りながら病気であることを隠して保険に加入することを推奨し、実際に被保険者が亡くなると、今度は「虚偽の申告をした」と言って、保険金の支払いを拒否した。その数があまりに多くなったことから当局のお咎めを受けた。

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