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【第1回】ブレーキを持たぬスピード経営の愚

  • 水野 博泰,谷島 宣之

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2006年4月20日(木)

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経営者の犯罪、社員の不正、人命を奪う大事故、製品の欠陥、個人情報や経営情報の漏洩――。人々の信頼を打ち砕き、安全と安心を脅かす企業不祥事が相次いでいる。激しい競争を勝ち抜くための必須条件は「スピード経営」だが、アクセルを思い切り踏み込むためには強靱なブレーキが不可欠である。「ハンドル」と「アクセル」に「ブレーキ」を加えた三位一体経営の中枢神経となるのが、全社を貫くIT(情報技術)の基盤である。新IT経営の最前線に迫る。

 ライブドアの堀江貴文前社長に哲学と呼べるものがあったとすれば、それは「スピード経営」の一言に尽きる。先人たちが積み上げてきた前例という名の不文律。既得権益で喉を潤す者たちが唱える常識という名の障壁。若くして起業した新参者がそれらを乗り越えるためには、時代を追い越してしまうほどの速さで疾走するしかなかった。

時価総額至上主義そのものは否定できないが・・・

 時価総額至上主義は、経営力や技術力という資産を持たない者が既存勢力の間に割って入ろうとした時に、当然、行き着くであろう方法論であり、堀江氏に与えられた数少ない選択肢の1つだった。株価上昇を狙ったもろもろの工作や巧妙かつ違法な粉飾行為は、断じて許されるものではない。ただ、事業収益よりも株価、実績を積むことよりも時価総額を上げることに血道を上げた経営手法は、それ自体を頭から否定することもできない。

 ライブドアを存亡の危機に陥れた“堀江経営”の最大の欠陥は何だったのか。それは、常に全開状態のアクセルがあるだけで、交差点や急カーブに差しかかった時に踏み込む「ブレーキ」が経営者の倫理観にも会社の組織にも装備されていなかったことである。

 米国では消費者保護、投資家保護の観点から経営者の暴走に対する厳しい策が講じられた。経営者や社員の自覚に任せていては企業の不祥事や不正を止めることはできないという社会的な合意が形成され、法律によって企業の行動を厳しく監視・規制しようという流れが加速した。つまり、企業に「経営のブレーキ」を装備することを義務づけようというのである。

 この流れは日本にも押し寄せている。コンプライアンス(法令順守)が企業存続の最低条件となり、これに反すれば、市場からの退出を迫られる。コーポレートガバナンス(企業統治)の見直しと再構築、そして企業のCSR(社会的責任)を明確にして、それを果たすことが企業経営に求められるようになった。

 企業の不正を防止したり、消費者を保護するという観点から、新しい法律が次々に生まれている。個人情報保護法や製造物責任法(PL法)は代表的な例である。

 さらに最近では、「内部統制(インターナル・コントロール)」という全社的な仕組み作りが求められるようになってきた。内部統制とは、(1)事業の有効性と効率性を高める、(2)財務報告の信頼性を確保する、(3)事業に関わる法令を順守する――という3つの目的を達成するための仕組みのことである。もともとは財務報告の適正性を確保することを狙って米国で生み出されたものだが、企業活動全般にその適用範囲を広げている。

 具体的に企業が実行すべきことは、経営理念や経営方針を明確にすること、様々な経営リスクを洗い出して対応策を練ること、企業内の様々な業務の内容や仕事の進め方、手続き、権限を明確にすること、組織内でやり取りされる情報の管理を徹底して不正やミスが起きないようにすること――などである。

日本版SOX法、2008年4月にも施行

 万が一、不正が行われたりミスが発生してもそれを発見、検証できるような仕組みを埋め込むことも必要だ。内部統制の状況をまとめた報告書を作成し、外部監査を受けることも義務づけられている。

 米エンロンや米ワールドコムなどの不正事件を契機に、内部統制を株式上場企業に義務づける米企業改革法(サーベンス・オクスレー法=SOX法)が2002年7月に成立したことで、ここ数年で米国の上場企業が対応を進めてきた。

 そのSOX法に倣った法案を、日本では金融庁が検討している。「金融商品取引法(通称「投資サービス法」)」と呼ばれるもので、同法案はこの3月10日に閣議決定された。早ければ、2008年4月にも施行される見込みで、少なくとも上場企業は今後数年で何らかの対応を迫られることになる。

 米SOX法や“日本版SOX法”の特徴は、不正やミスというリスクに備えることを目的としながらも、企業活動全般にわたる対応が必要になることである。「経営のかじ取り」「収益を上げる仕組み」「リスクへの備え」の三位一体経営を促すものであり、IT(情報技術)の活用が不可欠になる。

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