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【第3回】ITリスクの脅威と対策

東京証券取引所

  • 大和田 尚孝=日経コンピュータ

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2006年4月27日(木)

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 「東証の仲間と認めていただけるように、社員の方々と問題と目標を共有していきたい。私1人では何もできませんので、これまで東証の情報システムを支えてきた皆さんと一緒に努力して、東証とその情報システムへの信頼を取り戻していく所存です」

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東京証券取引所 CIO(最高情報責任者)
鈴木 義伯氏

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東京証券取引所は2005年11月、12月、2006年1月と連続して前代未聞の情報システムのトラブルを起こした

 この2月1日、東京証券取引所の新CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー=最高情報責任者)に就任した筆頭執行役員の鈴木義伯氏は、部下となった東証の情報システム担当者を前に、こう挨拶した。日本で最も注目されているCIOが社内で発した第一声は、チームワークの強調だった。

 「最も注目されている」という表現は大げさではない。2005年12月16日、東証社長兼会長の西室泰三氏が「CIOを公募する」と発言して以来、マスメディアは「誰が火中の栗を拾って、東証のCIOを引き受けるのか」と報じ、2006年1月24日に鈴木氏の就任が発表された以降も、東証のCIOについて大きく取り上げていた。

 西室氏がCIOを公募したのは、情報システムの問題が相次いだ責任を取って、東証の社長と情報システム担当役員が更迭されたため。東証は11月1日に取引システムの障害を起こし、12月8日にはみずほ証券の誤発注を東証システムの不備のために取り消せないというミスをした。日本の大手企業で、情報システムのトラブルを理由に経営トップが辞めた前例はない。後任CIOの公募も極めて異例だった。

 鈴木氏が東証のCIOポストを打診されたのは1月11日。NTTデータ社長の浜口友一氏が直接、説得を試みた。その時、鈴木氏はNTTデータの子会社、NTTデータフォースの社長を務めていた。1972年に電電公社に入って以来、一貫して金融情報システムの開発と運営を手がけ、2005年6月にNTTデータ取締役から、NTTデータフォースの社長に転出していた。

 打診を受けて3日後の1月14日、鈴木氏はCIO就任を受諾した。その直後の1月18日、ライブドア株の売買が激増、東証は情報システムの処理能力を超える可能性があるとして、市場を通常より20分早く閉めた。マスメディアは昨年以上に厳しく東証を批判した。鈴木氏は、報道を見聞きしながら「解決しなければならない問題は多い」と責任の重さを改めて実感した。

東証そのものを作り直す

 CIOに着任した2月1日、電車に乗って東証へ向かう。緊張していたせいか、どうやってたどり着いたのかよく覚えていない。

 関係者への挨拶回りもそこそこに、東証のIT(情報技術)システムが抱える問題点の整理に着手した。これは時間との勝負だ。システム関連の膨大な資料に目を通し、システム担当者を次々に呼んで説明を受ける。売買、清算など各システムがどのような構成になっていて、どのようにつながって機能しているのかを頭に叩き込んでいく。

 ただし、ITの知識だけでITシステムを作ることはできない。それを何に、どのように使うのか、利用現場は何を求めているのかという知識と視点が欠かせないのだ。鈴木氏は証券取引については門外漢。証券取引業務の知識も早急に身につけなければならない。鈴木氏は猛然と走り始めた。

 鈴木氏には2つのミッションが与えられている。

 第1のミッションは、現在使っているシステムがこれ以上のトラブルを起こさないように緊急対策を打つこと。日本の証券取引市場の要となる東証システムがこれ以上のトラブルを起こすことは絶対に許されない。現状の東証システムが様々な問題を抱えていることは間違いないが、すぐに全体を作り直すことはできない。今あるものを最大限に生かしながら、弱い部分を見極めて補強していく作業がまず必要になってくる。ただし、応急処置で稼げる時間はそれほど長くはない。

東京証券取引所の教訓
 ■ 経営チームの一員にシステム責任者を加える
 ■ 品質改善に投資し、ソフトウエアを作りっぱなしにしない
 ■ 世界の競合相手を調査し、自社システムの将来像を描く


 そもそも、東証の現行システムの問題は大きく2点に集約できる。1つは、インターネット・トレーディング時代を迎え、個人投資家などによる取引が急増。現行システムを開発した時には予想もしていなかった大量の注文データが東証システムに押し寄せ、それらをさばききれないという処理能力の問題。もう1つは、システム全体の基本設計が問題だ。継ぎ足しに継ぎ足しを重ねてきた結果、極めて複雑なシステムになってしまい、その能力を最大限に引き出せないでいるのだ。個々の機能はよくできているが、全体を見渡すと、過剰な機能や足りない機能があったりしてバランスが悪い。

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