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第5回 アナリスト――華麗にして苛酷な商売

  • 若林 秀樹

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2006年5月29日(月)

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 超高給で引き抜かれ、株式市場や事業会社に影響力をもち、メディアにも登場する華麗な職業。アナリストというのはとてもオイシイ商売――。

 そんなふうに思っている人がいたとしたら、現実はかなり違う。高給で遇されるスターアナリストも確かにいることにはいるが、当然ながら、アナリスト人口の中ではほんの一握りに過ぎない。

セルサイドとバイサイドは別人種

 アナリストと言った場合、狭義では証券アナリストのことを指す。その仕事内容を定義するなら、企業の価値を分析算定し、それが株価と比べて割高か割安かについて意見をまとめ、リポートする専門職のことである。

 それが、証券会社のように株を売る側に属する場合に「セルサイド」のアナリスト、逆に機関投資家などのように株を買う側に属する場合に「バイサイド」のアナリストと呼ぶ。

 バイサイドの場合、アナリストとファンドマネジャーを兼ねている場合もある。同じアナリストでも、「別人種」と言っていいぐらい視点が違う。

 投資判断を「買い(強気)」か「売り(弱気)」で示すことから、セルサイド・アナリストとは“強気”のアナリストであり、バイサイド・アナリストとは“弱気”のアナリストであると考えている人に時々お目にかかるが、これは完全な誤解である。

 アナリスト仲間に伝わるこんな笑い話がある。弱気見通しで有名だったアナリストが、セルサイドの会社からバイサイドの会社に移籍して挨拶周りをしていた時、ある企業のIR(投資家向け広報)担当者から「ようやく強気になられたのですね」と言われて、言葉を失ったというのだ。

 もっとも、辛口の売り判断を浴びせ続けてきたアナリスト氏への強烈な皮肉だったのかもしれないが…。

 ちなみに、ヘッジファンドはバイサイドである。「買い」のことを通称「ロング」と呼ぶが、これは中長期という意味ではない。「売り」は「ショート」だが、これも短期という意味ではない。筆者自身の失敗談を1つ。

 1990年初頭、まだこの世界で駆け出しの頃、米国系ヘッジファンドにプレゼンテーションに行った時のこと。相手に「ショート」はないかと問われて、即座に、短期的に「買い」の銘柄を薦めてしまったのである。今となっては懐かしい昔話である。

アナリストは全能の神にあらず

 もう1つ、アナリストに対する誤解がある。

 アナリストというのは株のことは何でも知っている“全能の神”のように考えている人もいるようだが、これも違う。セルサイドでもバイサイドでも、アナリストの担当分野はかなり細分化されている。

 具体的には、電機、自動車、薬品といった産業セクター別、国内株、アジア株、グローバルテクノロジー株といった地域別、大型株、中小型株といった規模別など。

 筆者はアナリスト時代に、日経平均の見通しとか、どのセクターのどの株が有望かというような質問を受けることが多かったが、こういうことに答えるのは本来、「ストラテジスト」と呼ばれる人たちの仕事である。

 アナリストは、自分の担当するセクターあるいは担当する企業の見通しや投資判断しか自信を持って答えられない。たとえ若干の知識があったとしても、専門家としての忠実義務において中途半端なことを言うべきではない。

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