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「中村改革」最大の功績はパナソニックブランドの価値向上

薄型テレビ商戦で見せた「松下リンク」10%のプレムアム価格

  • 寺山 正一

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2006年6月28日(水)

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 「破壊と創造」を旗印に掲げ、6年間にわたり松下電器産業の改革を指揮してきた中村邦夫社長は、6月28日の定時株主総会で会長に就任し、後任の大坪文雄専務に経営の舵取りを託すことになる。

 2002年3月期に5377億円という巨額の税引き前損失を計上、未曾有の危機に陥った松下を、2006年3月期には5%近い営業利益を稼ぎ出すまでに回復させたのだから、中村改革が歴史に残る再建だったことは疑いようがない。

 ブラックボックスに裏づけられた独自の技術に加え、消費者に受け入れられる魅力ある商品を自律的に生み出す組織の力。松下を「世襲」の2文字から解放し、真の世界企業に脱皮する布石を打った数々の決断。

ビクターのテレビなら3万円高くてもいい

 中村社長時代の置き土産を数え上げるなら、枚挙に暇がないだろう。とはいえ、今後につながる最大の功績を1つだけ挙げろと言われたら、「パナソニックブランドの価値を引き上げたこと」に尽きるのではなかろうか。

 つい最近、面白い相談を受けた。不惑過ぎまで独身を通していた大学時代の後輩が、赴任先の地方都市で婚約を決めたのだが、その彼が先週末、携帯に電話をよこしたのである。婚約者と連れ立って新居の家電製品を揃えている最中なので、どのテレビがお買い得なのか相談に乗ってほしい、候補は2つに絞り込んでいるとのこと。驚いたのは、この後だった。

 「シャープのアクオスかビクターの液晶(エグゼという具体名は思い浮かばなかったようだ)か、37インチの液晶を買おうと思っているんですけどね。ビクターの方が3万円ほど高いんですよ。

 ビクターって松下の系列なんですか? 店員さんは3万円高い理由として、“これからDVDレコーダーやデジタルビデオカメラなどいろいろ買い揃えていくんでしょ。DVDレコーダーは松下のシェアが高いですしね。松下系のテレビの方がほかの機器とつなぎやすいから便利ですよ”と言ってるんです。

 そう言われればそういう気もするし、彼女はアクオスのデザインが気に入ってるし、どちらがお得なんですかね」

 3万円の価格差があった本当の理由は分からない。モデルの新旧なのか、インセンティブの多寡なのか、それは今回の本題ではないので横に置いておく。上記のコメントは後輩からのまた聞きをそのまま記したために、店員さんの商品説明を正確に再現しているのではないことも、念のため強調しておこう。

 後輩の理解にはいくつもの思い違いがあるのだが、興味深かったのは、目の前の具体的な商品は別にして、AV(音響・映像)のトップブランドとしてパナソニックを思い浮かべ、そのリンクのために3万円を払うなら惜しくない、と本人が認識していた事実にほかならない。

「非合理の合理」こそブランド力の本質

 松下の担当者からすれば、DVDレコーダーをテレビと同じリモコンで操作できて、SDメモリーカードを介したデジタル機器との接続も簡単にできる「ビエラ」をテレビ購入の候補に考えてくれればいいのに、という話になるに違いない。

 仮に後からDVDレコーダーやデジタルビデオカメラ一式をパナソニックで揃えてもらっても、一番値の張るテレビがビエラでないのなら、むしろテレビだけでもビエラを選んでもらった方が売上高は増える。松下の立場を代弁するのなら、そんなそろばん勘定だって成り立つはずである。

 それでも、大手金融機関に勤務して、仕事柄、電機メーカーの情報を見聞きしている40代前半の銀行マンが、ひとりの消費者として「ビエラリンク」の利便性に1割のプレミアム価格を認めていたことは率直に言って驚きだった。

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