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ブランド頼みの甘え断て
徹するは良い作品作り

鈴木 敏夫 氏[スタジオジブリ社長兼プロデューサー]

  • 降旗 淳平

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2006年7月10日(月)

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本誌(日経ビジネス編集部 以下同) 今年6回目を迎えた日経BPコンサルティングによるブランド調査「ブランド・ジャパン2006」で、スタジオジブリは消費者が選ぶブランドの第1位に輝きました。ジブリ作品のプロデューサーとして、また社長として、スタジオジブリを引っ張っている鈴木さんは、ジブリのブランドをどう意識していますか。

鈴木 意識しようと思ったのは「もののけ姫」(1997年公開)の時からです。その時に初めてジブリという名前を積極的に世間に出しました。

 実は、僕は「もののけ姫」を終えたらジブリを閉じようと思っていました。実際に宮崎駿(監督)にも提案しているんです。もうそろそろやめようって。その前、「魔女の宅急便」(89年公開)を終えた時には、宮崎がもうジブリをやめようと言い、その時は僕が反対して、「もののけ姫」の時は僕がやめようと提案した。2人でジブリをやめよう、やめようと交互に言っていたわけです。

 私がジブリをやめようと思ったのは、そもそもジブリは宮崎駿作品を作るために設立した会社だったからです。彼が年を取って作品を作れなくなったらおのずとなくなる。宮崎駿は当時、既に56歳でしたし、これ以上やってもしょうがないかなと。

 でも宮崎は大反対した。続けたかったのです。とはいえ、宮崎駿の八面六臂の活躍で支えていくというこれまでの方法ではもう続かない。続けるなら、誰かの力も借りなきゃいけないし、若い人の発掘も必要です。そういう時、会社の名前が役に立つのかなと思ったのです。

 で、それまで一度も使ったことがなかった「ジブリアニメ」という言葉を意図的に出すようにしました。それまではジブリの名前は外へ全然アピールしていません。それまでインタビュー取材を受けたことがなかった僕も、「もののけ姫」の時から取材を受け始めた。それでジブリという名前を連発し始めたわけです。

 要するに宮崎駿1人だけでジブリを支えていくのは難しいから、ほかの人にも場を与えて続けようということです。それがジブリをブランドとして意識した始まりでした。なかなかうまくいっていませんけどね、実際は。

本誌 すると、ジブリという名を意識して使ったのには2つの意味がありますね。1つは、ジブリというアニメスタジオの名を知らしめ、アニメを志す人に集ってもらうという意味。もう1つは、ジブリという会社が作るアニメであれば、仮に宮崎さんが監督していなくても…。

鈴木 お客さんが来てくれる。そういう意味です。おっしゃる通りですね。

本誌 後者の意味でのブランドのパワーは大きいんじゃないですか。今回のブランド・ジャパンでの高い評価もそれを裏づけている気がします。

鈴木 でもね、宮崎アニメという言い方をジブリアニメという言い方に置き換えたのであって、ジブリという名がついてるからといってお客さんが来てくれるとは限らない。宮崎の名を使わずに、ジブリアニメという名を1本立て作品で前面に押し出したのは、「ホーホケキョ となりの山田くん」(99年公開)なんです。あれだけ「もののけ姫」でジブリの名前を売ったんだから、これからはジブリアニメというだけでお客さんが来るかもしれないと、少しは思いましたが、世間はそんなに甘くなかった(編集部注:「ホーホケキョ となりの山田くん」は水彩画の技法を取り入れるなど革新的な手法を盛り込んだ意欲作だったが、興行的には予想を大きく下回った)。

本誌 でも、ジブリのアニメだから足を運ぶというお客さんもいるにはいるでしょう。

鈴木 内容が面白くないとお客さんは来てくれないですよ。何かの力を借りて何かをすごそうに見せようというのは、やっぱり自信のなさの表れでしょう。確かにジブリはブランドとしてある地位を確立したのかもしれないけれど、それに頼ったら終わりでしょうね。

 今年7月公開の「ゲド戦記」(宮崎吾朗監督)だって、宮崎駿の名を使おうと思えば使えるんですよ。手軽に儲けようと思ったら、あの「ハウルの動く城」(2004年公開)の宮崎駿の息子が監督で…とやるでしょう。僕はそれをやっちゃいけないと思ってるんですよ。ポスター見たって、ジブリの文字はホントに小さいし、ジブリ作品だとなかなか分からないでしょう。でも、よく見たら名前が入ってる。そういうふうにしたいんですね。

本誌 ブランドを強くするためには、ブランドに頼るのではなく、ブランドを使って自らをもっと高めていかなければ駄目なんですね。

鈴木 そういうことなんでしょうか。僕はやっぱり作品勝負に徹します。ブランドの力を強くするといっても、何によって強くするんですか。僕はないと思います。ブランド云々ではなく、結局、いい作品を作るしかない。

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長