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フリードマンが描く経済と社会の地殻変動

2006年7月17日(月)

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トーマス・フリードマン(Thomas L. Friedman)氏

1953年米ミネソタ州生まれ。オックスフォード大学を卒業後、通信社UPIを経て、81年からニューヨーク・タイムズ紙に移籍。95年から外交問題コラムニスト。中東問題の専門家として知られる。著書に『レクサスとオリーブの木』。

 ピュリツァー賞を3度受賞したニューヨーク・タイムズ紙の看板コラムニストが、中国、インド、日本、欧米諸国の緻密な取材を基に、世界で起きている「地殻変動」を解き明かした。IT(情報技術)の発展がインドや中国に競争力を与え、先進国の仕事を奪いつつある一方で、知識やアイデアが共有されることで、世界中のあらゆる場所で技術革新が起きている。著者はこうした現象を「The World Is Flat(世界はフラット化している)」という言葉で明快に表現した。フラット化した世界では、先進国の人々は何をすべきなのか、国家や企業はどう対処すべきかを指南している。

――『フラット化する世界』を刊行するに当たって、どのような読者層を念頭に起きましたか。

 まずは娘のため、つまり、今後を生きる子供たちのためです。次に何がチャンスで何がリスクかを知っている産業界の人々。最後に政治家です。我々がどんな世界に住んでいるかを認識し、正しい政策を作ることで最悪のシナリオから我々を救ってほしいからです。

 特に産業界の人たちは、世界がフラット化した時、そこには1つのルールがあることを肝に銘じておく必要があります。それは技術の力によって可能になることは何であれ、誰かがそれを成し遂げるということです。なぜなら、フラット化した世界では、様々な場所の様々な人たちがつながり、協力する手段があるからです。大切なのは、それがあなたによって成されるのか、それともあなたに対して成されるのか、ということです。

――全米での販売部数が200万を突破し、およそ30カ国での出版が決まりました。何が読者の共感を呼んでいると思いますか。

 多くの人たちは2000年頃から、何となく身の回りで起きている変化を感じていたはずですが、それが何であるかは曖昧でした。当時、人々が自覚していたのは、それまでに接触したことがない人に、インターネットや携帯電話を通して接触していること。そして、これまでに接触されたことが無い人から接触され始めたことです。

 また、米国人はこれまで、両親は祖父母よりも良い生活ができるし、子供たちはさらに良い暮らしができると信じてきました。しかし、定年が近づく我々の世代は、両親ほど良い暮らしができないのではないか、また、子供たちは我々のような生活水準を維持できないのでないかと心配しています。

 ただ、こうした漠然とした感覚をどう説明したらよいのか分からなかったのです。そんな時、私は「世界はフラットだ」という言葉で、単純に表現しました。「世界はフラットだ。ここはもう頂上でも何でもない。何か違ったことをしない限り、子供たちは私ほど良い暮らしはできないかもしれない」と。そしてこの流れを止めるために、人々は何をしなくてはいけないのかを説明しました。それが人々の思いや不安と一致したのでしょう。

――フラット化を推し進めた要因は何でしょう。

 様々な要因がありますが、そのうち最も大きいのは、ITの革新、とりわけ「パソコン」「インターネット」「共同作業を可能にした新しいソフトウエア」の3つの技術が収束したことです。

 パソコンのおかげで、私のような個人が、文章、写真、ビデオ、表計算、データなどのプロデューサーになることが可能となりました。インターネットによって、私が作成したコンテンツをほぼ無料で、世界中の至る所に送信できるようになりました。そして「共同作業を可能にした新しいソフトウエア」の登場が、すべてのコンピューターに互換性をもたらしました。あなたが東芝、私がIBMかアップルのコンピューターを使っていても、何ら問題が無くなったのです。

 その結果、途上国でも先進国にいるのと同じように仕事ができるようになりました。インドのバンガロール市でアウトソーシングの取材をしている時、現地の大手ITコンサルティング企業、インフォシス・テクノロジーズのナンダン・ニレカニCEO(最高経営責任者)がこう言ったのです。「トム、グローバル経済の土俵は平らになっているが、米国人は何の準備もしていないようだね」と。この時、私は世界で何が起きているかを悟りました。

――最近まで、インド人は仕事を得るために米国に来ていました。今はその必要が無くなったと。

 以前は、あなたが高度な技術を持ったインド人エンジニアで、日欧米いずれのビザも持っていなかったとしたら、あなたの技術はムンバイ市の波止場に置かれた野菜のように腐っていました。しかし世界がフラットな時代には、インドに居ながらにして、ソニーのためだろうと、東芝、サムスン、IBMのためだろうと、革新に貢献することができるのです。誰もがグローバルな知識サプライチェーンの一部になれるのです。

 バイオサイエンスにおける次の偉業は、インドのニューデリー市の19歳の少年によって達成されるかもしれない。その子はヒトゲノムを、アイポッドか携帯電話にダウンロードして、遊び始めるかもしれない。革新はどこでも起こり得るのです。

――途上国の人たちの不利が解消され、チャンスが膨らんでいるわけですね。

 マイクロソフトのビル・ゲイツ会長が、「35年前なら、東京で生まれた平均的な生徒は、北京やバンガロールで生まれた天才よりもチャンスがあった。しかし、今は違う」と指摘しています。確かに35年前なら、誰も中国文化革命の真っただ中に生まれたくはなかったでしょう。ネルーが主導した社会主義経済下のインドも同様です。しかし、世界がフラット化した今、北京やバンガロールで天才であることは大いなる可能性を秘めています。東京で平均的な生徒で満足している場合ではありません。北京やバンガロールの天才が、あなたと同じ舞台に立っているのです。

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「フリードマンが描く経済と社会の地殻変動」の著者

山川 龍雄

山川 龍雄(やまかわ・たつお)

日経ビジネス編集委員

「日経ビジネス」で自動車、商社業界などを担当後、2004年から4年間、ニューヨーク支局長。日経新聞出向を経て、東日本大震災直後から2014年3月まで同誌編集長。同年4月から現職。企業トップへの取材を通して、企業経営への提言を続けている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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