• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ブランド構築は本物の時代へ

  • 寄稿:鳥山 正博 氏

バックナンバー

2006年7月18日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

ブランドとは、顧客と企業を結ぶ見えない糸である。今、この点と点との結びつきに異変が起きている。インターネットという糸がくまなく、太く張り巡らされ、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌という既存マスメディアと並ぶ存在感を見せ始めた。

 消費者は自らの意思で製品、サービス、企業の選別を始めた。企業側はこの変化に戸惑いつつも、消費者との関係作りの見直しを急ぐ。1990年代に体験したブームとしてのブランド構築と一線を画するのは、「企業とは何か?」を追求する自問自答の作業が伴っていることである。

 力を失ったブランドの再生、無から有を生み出す創出、強さに輪をかける増幅術、引き継いだものを守り続ける決意――。取り組み方は千差万別だが、そこには時代に先駆けようと奮闘する人々のドラマがある。ブランド進化の最前線に迫った。

1980年代は商品力を度外視した「販売促進の全盛時代」だった。 その反動は90年代に入り「ブランドブーム」を引き起こした。 そして今、ブランド構築は「本物」だけが生き残る時代を迎えた。

 ブランドとは何か――。この問いに対する答えは、企業や消費者を取り巻く環境、つまり時代の移り変わりとともに大きく様変わりしてきた。

 1980年代はデータを重視するマーケティングの黎明期である。流通業界を中心にPOS(販売時点情報管理)が導入され商品の売れ行きを単品ごとに即座に把握できるようになると、売れる商品は長く棚に残り、売れない商品はたちどころに姿を消した。

 当時の企業は「売り上げ志向」が強く、短期的に売り上げやシェアを拡大するためならば、どんなに費用をかけてでも、多少の利益を削ってでも突き進むような風潮が高まっていく。

 売れる商品こそがブランドであり、ブランド向上のためには景品で顧客を釣ったり、割引クーポンをばらまいたり、店頭での現金還元や値引きキャンペーンを繰り返したりと、商品本来の価値とは懸け離れたところでの競争が繰り広げられた。

 特に80年代の米国では、広告宣伝費から販促費へ、つまり長期的なブランド形成から目先の売り上げアップへの急シフトが起こったのである。広告宣伝よりも販促の方が短期的効果が高いという理論が発表されたこともあり、短期的成果を求める米国の企業風土がその流れを加速させた。

 だが、その末に行き着いたのは商品ブランドや企業ブランドの著しい棄損だった。どんなに良いモノを作っても、値引きをしなければ売れない、おまけをつけなければ売れないというジレンマに陥ってしまったのである。

 「ブランド力」があるということは商品の価値や魅力を消費者に正しく伝え、理解してもらうことにほかならない。ブランド力のある商品なら、おまけをつけたり値引きをしなくても消費者は納得のうえで財布の紐を緩めてくれる。そして、ブランド形成を狙った広告宣伝は、現在の利益を多少犠牲にするという点では販促と同じだが、目先の利ではなく長期の成長を目指すという点で決定的に異なっている。

 行き過ぎた販促ブームに対する反省の結果、90年代の「ブランドブーム」という現象につながっていく。それは海を渡って日本にもやってきた。

 だが、ブームの反動は新たなブームの過熱をもたらす。広告宣伝への回帰は是としても、商品が備えている価値以上のイメージを消費者に植えつけることがブランド戦略であるかのような風潮が蔓延したのである。製品やサービスとは無関係な「良き企業イメージ」を売り込む広告も流行し、イメージ先行型ブランド構築が全盛期を迎える。

 消費者や顧客の目は節穴ではなかったはずだが、いかんせんマスメディア中心の時代だったため、情報の伝達は「企業から消費者へ」という一方向でしか成立し得なかった。真贋入り交じるブランド構築ブームの最中に、消費者は自らの価値判断を発信する有効な手立てを持ち合わせなかった。

 そうした状況が2000年代に入る頃から大きく変わり始めた。インターネットという強力なメディアの普及は、消費者に強力な選択権と発言権を与えた。消費者は自らの意思で欲しいモノを探し出すための“検索”という手段を獲得し、企業から一方的に情報を押しつけられる苦渋からようやく解放されたのである。

「特別編集版 ブランド進化論」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

テスラのような会社と一緒にできないのなら、パナソニックはイノベーションを起こせないだろう。

津賀 一宏 パナソニック社長