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残業大国ニッポンを憂う

2006年7月27日(木)

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 今日は日本のワークスタイルについて、考えたいと思います。

 僕はもともと研究者を目指して日本の大学院に留学しました。大学院を修了後、中国に帰国するつもりでしたが、日本でビジネスの世界に足を踏み入れることになりました。1992年のことです。3カ月ほどのサラリーマン経験をした後、起業しました。

 起業した大きな理由の1つは、最初の職場で体験した金太郎飴的なワークスタイル、中でも最も納得できないのは残業の多さでした。残業は勤勉の象徴のように受け止められていて、残業しない人は仕事に熱心ではないかのように感じられました。これは何も僕が勤めた先だけに限った話ではなく、当時は他の企業も同じような状況が多かったのだと思います。

 それから時代が変わり、日本にも多様な経営者が出現し、真剣に残業の撲滅に取り組む企業が増えました。労働基準局も不法残業の摘発に躍起になり、大きな成果を上げつつあります。不法残業にメスを入れるような状況が90年代初めから浸透していれば、14年前、僕は創業せず宮仕えを続けていたかもしれません。

調査数字を聞いて唖然

 と思っていたのですが、先日、新聞から残業に関する調査数字を知って、やはりサラリーマンを続けなくてよかったと思い直しました。「正社員の4割超が『不払い残業』をしており、平均で月約35時間に上る」と労働政策研究・研修機構が発表したのです。

 僕が問題にしてきたのは残業そのもので、就業時間外の労働をすることだけでも理解しにくいのに、残業代を払わないで残業させることなどは想定外のことでした。貴重な人生の時間を犠牲にして働かなくてはならないことだけでも納得できないのに、時間に加えてお金まで犠牲にさせて働かせることなどは全く問題外のことです。

 昨今、会社は株主のものか、という議論が盛り上がりましたが、誰の所有であろうと会社は公器として機能しなければなりません。公器として最も重要な役割の1つは、社員を会社の私物として扱わないことではないかと思います。ただ働きさせるということは、社員を会社の私物として扱うことと同じなのではないでしょうか。

「残業しなくては儲からない」、そんな経営などあるのか

 一方で、生産性が低い社員がいるということは承知しています。生産性が低いのはなぜか、経営者は考えるべきだと思います。不要でモチベーションの上がらない仕事をさせているならば経営者の責任。社員の能力の問題なら、それを本人にきっちりと理解させ、前向きな生産性改善の仕組みをつくることは経営者の使命です。

 僕は昔から講演会などで残業の問題を訴え、残業を減らす意味とその方法を提案してきました。講演の中である経営者の方から「残業しても儲からないのに、残業をやめたらどうするのですか」との質問をいただきました。

 その質問には「残業しなければ、儲からないようなビジネスのやり方に問題がある」と答えました。世の中には残業しなくても利益を出している会社はたくさんありますし、先進国ではむしろ残業しないのが一般的です。社員の忠誠心と我慢強さに甘えて不払い残業をさせる経営者は社会貢献とか、顧客主義とかを論じても説得力がないと思います。

日本の年間セックス回数が低いのと関連する

 僕は残業問題が経営問題をはるかに超えた社会問題だと思います。オーストラリアの会社が実施した「the global sex survey 2005」によれば、日本の年間セックス回数は平均45回で、調査対象国の中でも最低です。この調査によれば、世界各国の平均回数は103でした。日本が低い理由は、明白です。残業して深夜に帰れば、セックスする気力も時間もないはずです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官