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フランク・ミュラー

――時計の概念を変え続ける経営

2006年7月26日(水)

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 スイス・ジュネーブ近郊の保養地、ジャント村。アルプスの雪解け水を湛えるレマン湖のほとりに、高級腕時計フランク・ミュラー・ウォッチランドの本社兼工房は建つ。

わずか15年で社員数は約30倍、生産量は250倍に

 
フランク・ミュラーの工房
(写真:石川 善丈)

 古い城館を改装した本社の周りにコテージを思わせる瀟洒な2棟の建物。そこには約400人の従業員が働く。1992年に会社を設立した時はわずか14人だった。年間の生産台数に至っては、この間に200個から5万個と実に250倍にもなったのだから、その急成長ぶりがうかがえる。

 100年、200年の歴史を誇るブランドがあまたあるスイスの高級時計業界。その中で、わずか10年余りでその地位を確固たるものにしたフランク・ミュラーの成功物語は、それ自体が既に伝説だ。

 主役はもちろん、創業者であるミュラー氏である。ジュネーブ時計学校在学中から、18世紀フランスの天才時計技師、アブラアン・ルイ・ブレゲの再来と言われるほど、その才能は早くから注目されてきた。卒業後、アンティークウオッチの修復やオリジナル時計の注文生産でキャリアを積み、数々の複雑かつ豪華な機械式時計を手がけることで、名声を高めてきた。

 そのキャリアの集大成として立ち上げたブランドが、フランク・ミュラーである。もっとも一流の技術が即、ビジネスの成功につながるとは限らない。

 ましてやスイスの高級時計ブランドは、今や大手資本の時代である。70年代のクオーツショック(クオーツ時計が市場を席巻して機械式時計を駆逐したこと)で壊滅的打撃を受けて以来、資本の集約化が進んだ。老舗ブランドの中には、スウォッチ・グループやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンといった大手資本の傘下に入った企業も少なくない。

 100年以上の歴史と伝統を持つブランドもあれば、資本力を兼ね備えた大手ブランドもある。フランク・ミュラーの成功それ自体が伝説と言ったのは、こうした競争環境の中で、ごく短期間で成功を収めたからだ。

本田宗一郎と藤沢武夫、井深大と盛田昭夫、フランク・ミュラーと……

 何がフランク・ミュラーを成功に導いたのか。経営という観点から言えばまず、共同経営者でCEO(最高経営責任者)でもあるヴァルタン・シルマケス氏との出会いが大きい。1991年に出会った両者は、一方は時計技師、他方は宝飾品の細工師である。幸いなことにシルマケス氏は、美術的センスだけではなく経営の才にも恵まれていた。現在の同社の経営の舵取りは、主にシルマケス氏が握っていると言ってよい。

「「欧州ブランドビジネスの舞台裏」」のバックナンバー

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「フランク・ミュラー」の著者

田村 俊一

田村 俊一(たむら・しゅんいち)

日経ビジネス編集長

1989年日経BP社に入社。日経リゾートを経て1993年から日経ビジネス編集部。日経新聞経済部、日経ビジネス・ロンドン特派員、日経ビジネス副編集長、日経新聞産業部次長を経て2014年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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