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ロングテール礼賛を超えて

2006年7月28日(金)

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 Web 2.0ブームの中、「ロングテール」というコンセプトがもてはやされている。

 ご承知の方も多いだろうが、売り上げや利益といった、顧客(ないし商品)の価値を縦軸にとり、価値の高い順に左から並べていくと、恐竜のような形態のグラフができあがる。

 パレートの法則のごとく、通常は全体の1割から2割の顧客(ないし商品)の価値が大きいので、最初の部分が背の高い「頭部」に見え、その後、急角度で顧客・商品当たり価値が落ちていく部分が、「背中」のようになる。そして、価値が限りなくゼロに近づいたあたりから、長い「尻尾」すなわちロングテールの部分が続いていく。

 このグラフ自体は、別に目新しいわけではない。ミクロ経済学や経営戦略をかじったことのある方なら、何度も目にしたことがあるだろう。

 最近しきりと話題になるのは、ビジネスの対象として魅力に欠けると考えられてきたロングテールの部分を対象として、大きな収益を上げるビジネスモデルが登場してきたからだ。最も価値の高いトップ1~2割の顧客や商品に集中せよ、というのが、従来の常識だったが、ネットの世界では、逆に「尻尾」から儲けるという闘い方もあり得るというわけだ。

顧客の自発性と双方向性がコストを下げる

 ロングテールの部分で収益を上げるには、1件1件が極小の取引なので、顧客とのやり取りに必要なコストを徹底的に下げる必要がある。例えばアマゾンの場合、受注はネット上で完結するし、顧客自身が欲しい商品を検索してくれるので、限界的なオペレーションコストはないに等しい。リアルの書店では滅多に売れず棚に残せない商品でも、データベースに入れておけば、顧客の方から探し出してくれ、コストをかけずに売ることが可能だ。マニアックな顧客が世の中に知られていない本を推奨(レコメンド)してくれれば、それを信頼して購買する同好の士も存在する。あるいは、過去の購買履歴から顧客の好みの分野を推定し、同種の商品を推奨することで、知られざる本を一定程度売ることもできる。

 アマゾンは、こういうオペレーションをできる限り自動化し、「塵も積もれば」で、結果的にロングテール商品で相当の収益を上げていると言われている。

 ロングテールと言われるコンセプトの本質は、「ネットでの情報交換がほぼ追加コストなしでできること(情報の経済性の変化)」に加えて、「顧客自身も検索などの手段で、自発的に情報のやり取りに参加すること(自発性と双方向性)」を活用して、オペレーションコストを徹底的に下げているところにある。

「背中」の部分で起きていること

 「頭」ではなく「尻尾」から儲ける、というのは確かに面白い。ただ、天邪鬼な私としては、「頭」と「尻尾」の間にある「背中」にも着目したいと思う。「背中」の部分を対象にしたビジネスモデルの成功例が既に存在し、それはネットに限られたものではない、ということが、見落とされがちだからだ。

 前述したようにロングテール戦略の必須要素の1つが、顧客の自発性だ。アマゾンの顧客は、自分で欲しい本を選んでくれるし、グーグルのユーザーは、知りたいことを自ら検索してくれるので、それに合わせた広告を表示させることが可能となる。

 しかし、世の中のすべての顧客・ユーザーが自発的に何かをしてくれるわけではない。企業側からの働きかけを受けて、初めて価値を生む行動をしてくれることも多い。この「働きかけ」に必要なコストよりも、その結果得られる価値の方が、大きくなるように仕掛け・仕組みを構築するのが、「背中」部分で成功するビジネスモデルの共通点だ。

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「ロングテール礼賛を超えて」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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