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一度捨てた市場に日本技術の粋を集め再参入

セイコーウオッチ「ノード スプリングドライブ ソヌリ」
高級機械式腕時計でスイス勢の牙城に正面勝負

  • 川嶋 諭

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2006年7月28日(金)

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 時計の針を30年分戻したような光景だと思った。岩手県雫石町にある盛岡セイコー工業の腕時計生産ラインを初めて目にした時のことである。20人の職人が黙々と手作業で腕時計を組み立てている工場である。しかし、何かが違う。そして気づいた。時計の針を30年分巻き戻すのではなく、30年進めた未来の工場ではないか、と。

 高級機械式時計を組み立てている職人は、全員が木目の美しい欅(けやき)の机で作業している。聞けば、岩手県を代表する伝統工芸品である「岩谷堂箪笥」を作っている家具メーカーの特注品だと言う。幾重にも漆が塗られた重厚なデザイン。これまた岩手の名産である「南部鉄器」を装飾金具として使っている。岩谷堂箪笥は1竿数百万円もする超高級な家具だが、そのメーカーに無理を言って机を作ってもらったのだ。

雫石の工房
盛岡セイコー工業の雫石高級時計工房。約20人の職人が手作業で時計を組み立てる  写真:鶴岡弘之

20人の作業場に1億円を投資

 高価な伝統工芸品を職人一人ひとりに作業机として与える。しかも、机の高さは職人の身長や座高に合わせて一つひとつ違う。椅子や道具にもこだわり、自動化ラインなど一切ない、20人が机の上で時計を組み立てるだけの工場(こうば)に約1億円をかけた。職人の働く環境を徹底的に考えたのである。そこまで職人に気を使った工場が今までにあっただろうか。

 セイコーインスツル(SII)の常務執行役員で、腕時計製造子会社の盛岡セイコー社長でもある西郷達治さんは「4000万円でできないことはなかった。しかし、世界の最高級品を作っているんだという職人の気持ちをさらに駆り立てるには、けちなことはしたくなかった」と言う。今までの常識からすれば贅沢なことである。だが、そこまでする理由はあるのだ。

 日本の腕時計市場(販売金額)は昨年、5991億円だった。しかし、そのうち4258億円をスイスからの輸入品が占める。国内メーカー品は全部合わせても1194億円しかない。わずか20%の販売シェアしかないのである。セイコーやシチズン、カシオなど、日本には世界的に有力な腕時計メーカーがひしめいているにもかかわらず、その母国市場はスイス勢に席巻されてしまっている。

スイスの8振動に対し12振動で精度を上げる

 原因は50万円、100万円、あるいは1000万円以上もするような高級な機械式腕時計にある。世界の腕時計市場を個数で見ると、2005年は12億5000万個作られた。このうち、日本のメーカーが生産したのは7億2400万個。ほぼ半数を日本メーカー製が占めるわけだ。つまり、日本メーカーは得意な自動生産技術を駆使して、大量の腕時計を生産しているが、販売金額では高級なスイス製の腕時計に圧倒されている。その高級な機械式腕時計で何とかスイス勢に対抗したいというのが日本の腕時計メーカー、特に高級品の品揃えが多いセイコーグループの悲願だったのである。

 冒頭の盛岡セイコーが1億円をかけて2004年9月につくった「雫石高級時計工房」は、その悲願達成のための最前線と言えるのだ。高い技能者の能力を最大限に引き出して、機械式腕時計でスイス勢に対抗できれば、1億円は安いものという考えである。

 盛岡セイコーは今年4月、12振動と呼ばれる機械式腕時計を発表した。機械式時計の原理は振り子にある。若い読者なら見覚えはないかもしれないが、40代以降の方なら、大きな振り子のついた柱時計が家にあったのを記憶しているだろう。その振り子の周期で時間を計る。

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