• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

変わらないからこそブームに乗れた
古き良きかわいいブランド

成長企業に学ぶブランド構築法
ケース【3】ホッピー

  • 渡辺 和博

バックナンバー

2006年8月7日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「ブランドやロゴには創業者の魂が込められています。簡単にいじってはいけません」。ホッピービバレッジの創業者から3代目に当たる石渡美奈副社長は、自戒を込めてこう言う。

 現在、3年連続で過去最高の売り上げを更新中と好調の同社だが、ここに至るまでには、「老舗ブランド」ならではの紆余曲折があった。

 ホッピーは、ビールと同様、麦芽を原料とした清涼飲料だ。アルコールは含んでおらず、焼酎をホッピーで割り、ビールのようなスタイルで飲む。

 ホッピービバレッジの前身となる秀水舎は1910(明治43)年の設立、ホッピー自体の発売は、秀水舎をコクカ飲料と改組した48(昭和23)年7月からという歴史を持つ。以来ほぼ60年にわたってホッピーは売り続けられている。味も飲むスタイルも基本的に変わっていない。社名をホッピービバレッジと変えたのは95年のことだ。

 ホッピーが全盛期を迎えたのは、70~80年代前半。「ビールよりも安く、早く酔える」という、いわばビールの“代用品”として、客単価の低い飲食店に広まった。ただ、こうした特徴は、そのまま暗いイメージを生んだ。「お洒落」「さわやか」「こだわり」などという言葉とは正反対のイメージだ。しかも、一度染みついたブランドイメージは極めて強固なものだった。

「認知度は高い、しかし悪い」

 「ホッピーを飲むと腰が抜ける」「自分の子供には飲ませたくないと親に言われた」

 ブランドイメージを変えようとする試みを始めた98年、ユーザーへの聞き取り調査を実施したところ、若い世代から集まった声は、こうした厳しいものだった。当時、150万円ほどをかけた調査の中で、前向きな結果といえば「ブランドの認知度は非常に高い」こと。ただし、その中身は「非常に悪い」というものだった。

 ここから、ホッピーの「暗いイメージを払拭する」ための苦闘が始まるのだが、先に結論を言えば「変えてはいけないものを知った」となる。

 創業者は石渡秀氏、現在の社長は2代目の石渡光一氏、3代目が副社長を務める石渡美奈氏だ。石渡副社長が学生時代を過ごした80年代後半、「サークルの仲間と飲みに行ってもホッピーは置いていない。このままでは若い世代には完全に忘れられたブランドになる」という危機感を持ち続けていた。

 折しも世の中はバブル景気に向かって坂を上り始めていた。同時に、ホッピーの売り上げは下がり続けていた。この時期から90年代後半まで、焼酎ブームによるサワーの販売と、95年に始めた地ビールの製造販売で、同社は食いつなぐことになる。

 石渡副社長が、若い世代向けの商品開発を手がけたのは99年。輸入ビールを思わせるグリーンの細身のボトルにロゴも一新、ラベルには使用したホップの原産地の解説など、オシャレなこだわりを前面に出した「ホッピーハイ」を発売した。

 これが、全く売れなかった。これだけで1000万円の赤字を出した。大手ビールメーカーなら、巨額の宣伝費をかけて、新しいブランドを一気に認知させることもできる。しかし、現在でも売上高が二十数億円程度の企業規模のホッピービバレッジではとても無理な相談だ。結局「ロゴを安易に変え、マーケティングもいい加減だった」(石渡副社長)新商品の企画は、高い授業料を払っただけに終わる。

 カネをかけずに広く認知させる方法はないのか。着目したのはインターネットを利用することだった。ただし、ここでも大失敗が待っていた。

 99年、同社はウェブサイトを開設し、ネット通販を始めた。ホッピーというブランド自体の知名度はあり、興味を持ったユーザーから「どこで買えるのか」「どこで飲めるのか」という問い合わせが相次いだ。現在のブログと同じような、石渡副社長の日記を掲載し、コアなファンのコミュニティーが出来上がっていった。

 失敗の原因は「値引き」だった。

 メーカーだから直販で値引きができる。当然、卸・小売りの流通業者は激怒する。企業規模から見て、流通業者を敵に回して今後の拡大はない。「菓子折りを持って謝りに行きました」(石渡副社長)。新しい商品企画、新しいマーケティング手法への取り組みを経て、逆に変えてはいけないものがはっきりしてきたのである。

コメント0

「特別編集版 ブランド進化論」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック