「現場をやる気にする企業再生」

第4回 「社長が社員と同じ目線で積極的に話しかける」

アルプス・カワムラの経営改革がスタート

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2006年8月28日(月)

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 連載の4回目となる今回は、リヴァンプが今年5月から再生支援をスタートさせたアルプス・カワムラ(東京都中央区)の改革の様子を伝える。

 同社の社長には、リヴァンプのパートナーという肩書きを持つ竹田尚志が就任した。竹田は直前までトークツの取締役も務めていた。トークツの現場改革が一段落着いたと判断し、現在、竹田はアルプス・カワムラの再生に全力を尽くしている。(文中敬称略)

帽子卸売業は国内トップだが市場が縮小

アルプス・カワムラ
アルプス・カワムラの竹田尚志社長(中央)。今年5月に就任した。リヴァンプの幹部社員の1人でもある。左は中野清之・管理本部総務部次長。右は岡田和典・第一事業部営業部係長

 リヴァンプによるアルプス・カワムラの再生支援も、親会社のテイボーからゴールドマン・サックス証券に資金繰りを安定化させる相談があったことがきっかけだった。ゴールドマン・サックス証券はリヴァンプに協力を打診したのである。アルプス・カワムラは帽子卸売業では国内トップだが、市場自体が縮小し、ベビー服やハンカチなどの不採算事業も抱えていた。

 リヴァンプとゴールドマン・サックス証券はアルプス・カワムラの株式を約50%ずつ取得。デット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)で資本増強も行った。そして今年5月。澤田と一緒にキアコンを立ち上げ、リヴァンプにも参画した竹田が、42歳の誕生日のわずか4日前にアルプス・カワムラの社長に就任した。アーサーアンダーセン・ニューヨーク事務所へ入社し、10年間にわたって小売り・流通業に対するM&A(企業の合併・買収)や戦略コンサルティング業務に従事した経験を持つ。

一歩一歩改善していく様子を徹底的に情報共有

 「この会社は百貨店の平場での帽子のシェアが4割もある。平場は今後有望だ。『今秋冬はこれが売れると見込んで作ってから、売り方を考える』というメーカー的な発想を変えて、いつどこで誰に何をどれだけ売るかという発想を起点に作るようになれば、業界再編の核となる強い会社になれる」。竹田はアルプス・カワムラの未来に大きな可能性を感じている。

 4月締めの2005年度決算では、約130億円を売り上げた。過去2期は営業赤字だったが、2005年度は不採算事業からの撤退で数億円の営業黒字を記録した。売り上げの6割は帽子で、あとはネクタイが2割、スカーフとマフラーが1割ずつを占める。約50億円の自己資金を投じたゴールドマン・サックス証券は5年後をめどに上場を目指すが、「僕らが一番やりたいのは会社を芯から元気にすること」と竹田は熱い口調で言い切る。

 竹田や澤田などから見ると、アルプス・カワムラの在庫のコントロール度合いは業界としては平均水準だが、改善の余地が大きい。また彼らは、「いつどこでどんな消費者にどんな商品をどれだけ売るか」という発想を起点にして商品をじっくり企画してから、開発・製造する体制に変える意向だ。

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著者プロフィール

杉山 泰一(すぎやま・やすかず)

1994年日経BP社入社。「日経コミュニケーション」で通信分野の国内外の取材を担当した後、2004年4月から「日経情報ストラテジー」に所属。経営管理や業務改善、社内の士気向上など、企業を強くするためのノウハウや事例の取材を担当する。99年から2000年にかけて、米国カリフォルニア州立大学大学院にてマスコミュニケーションを専攻。2009年11月から日経BP社電子新聞開発部次長。



このコラムについて

現場をやる気にする企業再生

現在の企業再生は、財務面だけでは不十分。再生ファンドや金融機関の中には「現場改革」の重要性に気づき、コンサルティング会社と手を組むなどして本格的な“内科手術”に取り組む者も出てきている。こうした本気の企業再生に取り組む人たちのインタビューや行動を、日経情報ストラテジーが10回にわたって紹介する。

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