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ワールドカップの裏側で
「夢を売る」競争を展開

成長企業に学ぶブランド構築法
ケース【6】アディダス vs ナイキ

  • 茂木 広子=フリーランスライター

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2006年8月21日(月)

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 ひと昔前、サッカーブランドの定番と言えばドイツ発祥の「アディダス」と「プーマ」だった。だが近年、その勢力図は新たなブランドの台頭で大きく塗り替えられつつある。

 きっかけは“サッカー不毛の地”と呼ばれたアメリカで、1994年に開催されたFIFAワールドカップ(W杯)だった。世界の熱狂ぶりを目の当たりにしたことで、米国内にもメジャー・リーグ・サッカー(MLS)が誕生し、このリーグとともに「ナイキ」がサッカー市場に本格参入。猛烈な勢いで世界市場を侵食し始めた。98年フランス大会、2002年日韓大会とも、決勝を戦うチームのユニホームは「アディダスvsナイキ」。サッカー界の新参者は“老舗”と肩を並べるまでになっていた。

 今年2月にベルリンで行われた2006年W杯ドイツ大会のユニホーム発表会で、ナイキブランドのチャーリー・デンソン社長はこう豪語した。

 「ナイキのサッカービジネスは10年余りで劇的な成長を遂げた。1994年には4000万ドル規模だった売り上げは、今や15億ドル規模にまで伸びている。特に2002年からの4年間は売り上げを倍増させており、世界市場におけるシェアは歴史的な市場リーダーと比べても遜色のないものになった」

 世界で最も多くの人々に愛されるスポーツを巡る覇権争いは、W杯出場各国の戦いと同様にヒートアップの様相を呈している。

 4年に1度のビッグイベントであるW杯は、サッカービジネスにとって最大のショーケースである。ここで自社のロゴマークを身につけたチームや選手が活躍することで、メーカーはその技術力やイメージをアピールし、ブランド価値を上げていく。

 その最高峰の舞台で優位な活動を展開するのが国際サッカー連盟(FIFA)と提携し、1970年から今年まで10大会連続でW杯を支援してきたアディダスだ。1業種1社が原則のFIFAパートナーになることで、「アディダス=No.1サッカーブランド」というメッセージを、全世界で延べ300億人以上と言われるテレビ視聴者に発信することができる。

 同様に、日本国内でも99年からアディダスジャパンがオフィシャルサプライヤーという形で日本サッカー協会(JFA)を支援する。今回のW杯直前に更新されたJFAとの契約は8年間で160億円(推定)という巨額のもの。日本代表をはじめとする各年代の代表チームのユニホーム提供のほか、選手、指導者育成などのプログラムをサポートしていくという。

 「サッカー界の技術向上(ギア及び選手)やファン拡大に寄与すると同時に、日本のW杯出場の喜びをファンと分かち合う機会も創出できた。その意味で、日本のスポーツ文化に貢献できている」(アディダスジャパン広報)

 権威ある組織とタッグを組むことでNo.1をアピールする一方で、今回のW杯では選手とサポーターの絆を強めるキャンペーン活動も展開。「共に戦うプロジェクト」では専用車で北海道から沖縄までをキャラバンして回り、25mサイズの日本代表ジャイアントジャージーにサポーターの応援メッセージを書き込んでもらった。5万件を超えるメッセージが寄せられたジャージーは、代表チームが合宿するグラウンドに連日掲げられており、アウエーで戦う選手たちを勇気づけた。

 こうした活動はビジネスにもつながる。地元開催の2002年日韓大会は日本代表のレプリカジャージーを60万枚近く売り上げたという。「サムライブルー」をうたう今回も、それに劣らぬ数字が期待されているはずだ。

 一方、新興勢力のナイキは対照的なマーケティング戦略を展開する。FIFAとの権利関係上、W杯の文字はどこにもうたっていないが、大会期間に合わせて世界同時開催の草の根サッカーイベントを積極的に仕掛ける。

 「W杯で活躍する選手の姿をワクワクしながら見ていると、自分もプレーしたくなる。その受け皿として何が提供できるかを、私たちは常に考えている」(ナイキジャパンPRマネージャーの水上陽子氏)

 前回の日韓大会では、それまでとは違うスタイルのサッカーを楽しんでほしいと、「スコーピオン・ノックアウト」というイベントを東京・代々木体育館を1カ月間借り切って開催。ナイキと契約するロナウドやトッティ、中田英寿らスター選手が競演するテレビCMと同じ金網に囲まれたコートで、参加者たちは3対3のサッカーを楽しんだ。再開催を望む声も多く、ナイキがコアターゲットとする10代の少年たちに鮮烈な印象を与えた。

 今回は一極集中型イベントではなく、「いつでも、どこでも、誰とでも」をテーマに近所の空き地や校庭で気軽にゲームを楽しめる「JOGA3フットサル」を開催中だ。3人1組のチームをウェブサイトに登録すると、1チーム3本のリストバンドがもらえる。これを賭けて3分間一本勝負に挑む。対戦相手はウェブ上で探すもよし、ナイキが用意した公式会場で見つけるもよし。勝てば相手のバンドを奪取し、負ければ自分たちのバンドが没収される。多くのバンドを集めたチームは、W杯決勝戦と同じ7月9日、横浜アリーナを舞台に頂点を争うことになる。優勝チームは各国のJOGA3王者が集う8月の世界大会(ブラジル)に招待される特典もあり、日本だけで何十万人という“サッカー小僧”がエントリーしているという。

 「サッカーを楽しむ“場”の提供は、ビジネスに直結しないところに投資しているように見えるかもしれないが、ナイキが演出するクリエーティブで楽しいイメージは参加者の心に残る。後発にもかかわらずサッカーブランドとしての認知度や好感度は年々上がっている」(水上氏)

 こうしたマーケティング活動のうまさが、ナイキの急成長を支えている。

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