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選択肢は敵対的TOBだけではない

ハプスブルク家の繁栄を築いた婚姻政策

2006年9月8日(金)

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 「戦争は他の連中に任せておけ。幸運なオーストリアよ、汝は結婚せよ」──。ハプスブルク家の婚姻政策を表すものとして、よく知られている言葉だ。

 ハプスブルク家は13世紀末にウィーンに拠点を移して以来、紆余曲折を経ながらも、1918年のカール皇帝退位まで、600年を超える期間、欧州の有力勢力であり続けた。この長期の隆盛は、少なくとも近世以降の欧州では他に類を見ない。

 ハプスブルク家はマクシミリアン1世の子供と孫の婚姻を通じて、次々に領土を広げていった。「戦争よりも婚姻」というマクシミリアン1世が残した家訓は、ハプスブルク家の長期の繁栄の重要な要因の1つとなったように見える。マリア・テレジアも、その娘マリー・アントワネットも、そして悲劇の皇妃エリザベートも、この婚姻政策がなければ、歴史の表舞台には登場しなかったかもしれない。

戦争による領土獲得から学べるもの

 王子製紙による北越製紙への経営統合提案、そしてその挫折を通じて、「日本でも本格的な敵対的買収の時代がやってくる」、あるいは「日本では敵対的M&A(企業の合併・買収)は成功し難い」といった議論が盛んだ。

 私の場合、こういった議論を聞くたびに、ハプスブルク家のことを思い出す。敵対的買収は、いわば戦争による領土獲得のようなものである。一方で、提携から始めて統合に至る「婚姻」型のモデルが存在するのに、そのメリット・デメリットの議論が欠落しているように思えてならないからだ。

 経済行為であるM&Aと、政治・軍事・経済のすべてにわたる国の支配権を巡る争いは、もちろん別種のものだが、ハプスブルク家の「戦争よりも婚姻」という政策から、ヒントを得ることは十分可能だ。

 ハプスブルク家の時代に、戦争ではなく婚姻を通じた領土拡大がなぜ有効だったのかを考えてみよう。キーワードは、「正当性」と「段階的受容」だ。

 近世から近代の国民の感覚からすれば、王統の正当性はまず血族関係が基盤だ。結婚を通じて現王朝と血族となった人物が、新たな支配者となることには、一定の正当性がある。武力侵略によって、血族関係も何もない他国の王朝が支配者となる場合とは、大いに違う。

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「選択肢は敵対的TOBだけではない」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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