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経営に必要な2つの問い

2006年9月22日(金)

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 トヨタ流の仕事の進め方が注目を浴びている。その中でも、よく耳にするのが、「なぜ」を5回繰り返す、というものだ。

 難しい課題を解決するためには、モノゴトの表面だけを見ていてはダメ。その奥にある原因は何か、さらにそのまた原因は何か、という具合に、「なぜ」という問いを5回繰り返す。これによって、一見、解がなさそうな問題を解決する糸口が見えてくるし、本質的な原因までさかのぼることで、応急処置を超えたカイゼンが可能となる、というわけだ。我々コンサルタントの世界でも、同様のことが言われる。いわく、「“why”と問い続けろ」とか、「課題を徹底的に構造化しろ」とか。

 こういった原因究明型の思考法には、確かに価値がある。日本語の特徴からか、我々日本人の多くは、論理的に詰めに詰めるということがどうも苦手だ。普段の曖昧さを捨てて、しつこく「なぜ」を繰り返せば、論理的に考え抜くことを強いられる。その結果、新たな発見があったり、無理だとあきらめていた壁を乗り越えることもできるというわけだ。

先に進めなくなる中途半端な「なぜ」の繰り返し

 さて、もてはやされている「なぜ(why)」型の思考法・仕事のやり方。当然ながら万能ではないし、生兵法だと経営に悪影響を与えかねない。特に気になるのが、「経営のスピード感不足」「クリエーティビティーの欠如」という悪癖がついてしまいがちなことだ。

 まず、スピード感の問題。論理的に原因を考えていくというのは、慣れてくると非常に心地よい思考法で、ついついいつまでも原因究明を続けてしまいがちだ。いつのまにか、幹と枝葉が分からなくなり、大きな意思決定に関係のない部分にこだわって、原因究明を続けるという愚を犯してしまう。

 ただでさえ、「もう少し検討したら」とか、枝葉の部分について「ここが気になる」などと言って、難しい意思決定を先送りする癖がある会社が、中途半端に「なぜ(why)」を繰り返せ、などと言うと、どんどん経営スピードが落ちていってしまう。

 次に、クリエーティビティーの欠如。帰納的に、「なぜ」「なぜ」と原因を究明していくと、ついつい「分かった原因に対して、ストレートに対応する解決策」だけを考えてしまいがちだ。

 仮に、アパレル企業が在庫削減策を考えたとしよう。在庫が多い原因をたどっていくと次のようになった。

「在庫が多いのは、売り上げ予測のブレが原因」(原因1)、
「売り上げ予測のブレは、ファッション性の高い商品群で、流行が読みきれないのが主因」(原因2-1)、
「流行が読みきれないのは、ファッションセンスのある人材不足と、業界ネットワークの弱さが理由」(原因3-1)、
「一方、流行が見えてから調整ができないのは、生産に必要なリードタイムが長すぎるせい」(原因2-2)、
「リードタイムが長いのは、原料仕入れ先とサプライチェーンが切れているから」(原因3-2)

 非常に単純化してあるが、こういう思考方法を現場で積み上げていくと、出てくる解決策は、
「トレンドが読める人材を採用し、業界内のネットワークづくりと情報収集を担当する部門を設置」(原因3-1への対応)、
「仕入先と発注情報を共有できるIT(情報技術)システムの構築」(原因3-2への対応)
といった、原因との1対1対応型のものになる。

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「経営に必要な2つの問い」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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