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トヨタ生産システム、中国で大進化遂げる

数々の制約外し、究極のジャスト・イン・タイム実現へ

  • 川嶋 諭

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2006年9月29日(金)

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この記事は、テキストと動画の組み合わせで多角的にお届けします。動画は、豊田章男トヨタ自動車副社長をはじめとする、広州工場の設立に深く関わったキーパーソンたちへのインタビューを盛り込んだ、約10分間のスペシャル番組です。ぜひテキスト記事と併せて動画をご覧ください。
(日経ビジネスオンライン)

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 トヨタ自動車(株価情報)が進化を始めた。外から見ていると、うっかり見過ごしてしまいそうな大変地味なことだが、実はトヨタにとって経営の根幹に関わる大切な変化が始まっている。

 トヨタ生産システムの革新である。世間で「ジャスト・イン・タイム」とか、「かんばん方式」とか呼ばれる仕組みが、次世代の革新的な生産システムに向けて大きく変化し始めたのだ。

 変化が起きている場所は日本ではない。中国にある。今年5月23日にラインオフ式を行い、6月から本格的に「カムリ」の生産を始めた広州トヨタがその現場だ。

徹底した後工程引き取りを実現


広州トヨタで生産された「カムリ」。ライトを当てて塗装の品質を点検
広州トヨタで生産された「カムリ」。ライトを当てて塗装の品質を点検
写真:篠崎律(以下同)

 何が起きているのか。結論から先に言うと、これまでは様々な制約条件があって完全な形での実現が難しかった「後工程引き取り」が、ほぼ完全に出来上がった。

 これは画期的なことだ。なぜならば、後工程引き取りは、トヨタ生産システムの最も核心にある考え方だからである。トヨタのもの作りが、ライバル他社に比べて効率的なのは、ここに最大の理由がある。

 ジャスト・イン・タイムとか、かんばんとか、「あんどん」とか、「人偏の付く自働化」など、トヨタ生産システムは、その構造が分解され、業種を超えて多くの企業に採用されてきた。しかし、その根本的な考え方である後工程引き取りをきちんと導入できている企業は、トヨタグループ以外にはほとんどないと言ってもいいかもしれない。

 後で述べるが、トヨタが最先端の技術をコピー大国である中国に躊躇なく持っていけるのは、この部分はそう簡単にマネできないという自負があるからなのだ。

 後工程引き取りを簡単に説明すると、素材加工に始まり最終組み立てまで何百という工程がある中で、普通は前から後ろに製品を流して作っていく。1つの工程が終わったら次の工程に回すわけだ。

 これをトヨタは逆に考える。後ろの工程の作業が終わったら、前の工程から次に加工や組み立てる製品を取りに行く。順調に生産が進んでいるのであれば、普通の方法もトヨタの方法もほとんど差がない。

 しかし、何百もある工程内にムラがあったり、何らかのミスで生産が滞ったりしている場合には大きな差が出てくる。普通の方法だと工程内にいくつも在庫の山ができてしまう。

地震でラインが止まらないのは在庫があるから

 今から2年前、中越地震の影響で新潟県にあるメーカーで部品の生産ができなくなり、トヨタの生産ラインが止まったことがある。この時、トヨタのラインは地震発生からほぼ時を経ずして止まったが、あるライバルメーカーは、その後も数日間にわたって生産ラインを稼働できた。

 当時、ライバルメーカーの工場を「事故に強い」と評価する一部の新聞があったが、トヨタの技術者は笑っていたそうである。「工程内に数日分もの在庫があったのか」と。ライバルメーカーの生産ラインにどれだけのムリ・ムダがあるかを、トヨタは中越地震によって工場を見なくても知ることができた。

広州トヨタの生産ライン。売り物の1つが、この車両リフター。従来は門形の大型装置だったものを、ロボット1台でできるようになり、スペース効率が大幅に向上、レイアウト変更も楽になった
広州トヨタの生産ライン。売り物の1つが、この車両リフター。従来は門形の大型装置だったものを、ロボット1台でできるようになり、スペース効率が大幅に向上、レイアウト変更も楽になった

 後工程引き取りの完成度を高めれば高めるほど、工程内のムリ・ムダが減って在庫を極限まで下げることができ、効率的で需要変動に強い生産が可能になる。トヨタ生産システムの神髄とは、その完成度を高めるための改善手法と呼んでもいい。

 前置きが長くなってしまったが、広州トヨタでは、日本でも、また、トヨタが世界各国に展開しているどの工場でもできなかったことを実現したのだ。

 後工程引き取りを徹底するために広州トヨタは、部品メーカーを含めた工場のレイアウトにまず工夫を凝らした。

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