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団塊神話を撃つ

2006年10月20日(金)

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 2007年から団塊世代の大量退職が始まるのを控え、様々な企業が団塊向けビジネスに参入し、競い合っている。退職金支給に伴う資産運用ニーズの拡大、お金と時間の余裕からくる旅行や家具・家電など高額消費の増加、などなど、近年にない世代の「塊り」での需要爆発に対して、期待は高まる一方だ。

 しかしながら、先行して団塊向けビジネスに参入したものの、なかなか事業が立ち上がらず苦労している例も数多い。こういった企業からは、「団塊は群れないので、世代全体を狙った商品やサービスとは相容れない」とか、「しょせん、世代別マーケティングで大きな需要を獲得するのはもう無理」とかいった声まで、聞こえてくる。

 確かに、高度成長期に団塊を狙って、「ど真ん中」の商品・サービスを投入すれば、それが大きな需要を生む時代は終わったのかもしれない。少年マガジンも、平凡パンチも、団塊を取り込むことで、新しい分野を創造できた。ベストセラー参考書も予備校も、彼らの成長とともに生まれてきた。多くの家電製品も、彼らとともに、普及し、進化してきた。

 一通り、欲しいものを手に入れ、人生経験を積んで、様々な趣味嗜好を身につけた団塊世代は、「みんなが同じものを欲しがる」ステージをとうに終えており、こういった社会現象化するような需要爆発は、見込みにくいのも事実だ。

団塊世代は「反体制」なのか?

 ただし、団塊ビジネスでの苦労の原因は、こういったニーズの分散だけが理由ではない。多くの企業が、巷間言われている「団塊神話」を鵜呑みにして、本当に彼らがどういうニーズを持っているか、見落としているところにも、大きな原因がある。

 「本当のようなウソ」という表現があるが、広く信じられている団塊神話で、事実と大きく異なるものがいくつかある。例えば、「団塊=全共闘世代」という神話。

 確かに、団塊の世代が全共闘運動の主力を占めていたことは、事実である。しかし、団塊の世代の大部分が、全共闘運動に関わったり、影響されたりしているわけではない。団塊の世代の最終学歴を見てみると、大学卒は全体の15%弱に過ぎない。もちろん、先輩や基地反対運動などの影響で、高校で全共闘運動に参画した人たちもいるだろうが、それは世代の中の一部に過ぎない。そんなことはあり得ないが、団塊世代の大学卒全員が当時の全共闘運動にシンパシーを感じていたと仮定し、さらに高校卒の中の一部を加えたとしても、せいぜい全体の2割にしかならない。

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「団塊神話を撃つ」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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