「神谷秀樹の「日米企業往来」」

子供を救うのは、家族の義務

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2006年11月28日(火)

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 子供の自殺に加えて、子による親殺し、親による子殺しのニュ−スが頻繁に聞こえてくるようになった。米国にいると、そこに一番大きな日本の社会の変化を感じる。日本では年に3万人の人が自殺するというが、それは10万人の人が自殺未遂をしているということらしい。とても悲しい現実である。

 いじめに遭った子供たちが逃げ込める「避難港」を作ろうというような話も聞こえてくる。それを否定するものではないが、子供にとって「いつでも帰っていけるところ」とは、本来家庭なのではないだろうか。言い換えると、日本では家庭の崩壊が激しく、それがいわば制度的な要因によって起こっているように思われる。

 日本ではまず「単身赴任」というのが当たり前のことになっている。言い換えれば「パパが家にはいない」家庭が多い。会社で転勤を拒否するということは出世を棒に振るに等しく、ほとんどのサラリーマンは単身赴任となる転勤を断らない。

転校で悩むことはない米国

 日本で単身赴任が多いのは様々な要因があるが、大きいのは子供の教育問題があるだろう。例えば、転校するのが簡単ではない。日本の場合、東京の一流高校に入った子供が他県に行って、同程度レベルの高校に転校するということは容易ではない。その点、米国では日本に比べると、転校がしやすい環境にある。

 高校は市立が基本で、授業料は不動産税の形(学校区税)で納めるため、誰でも地元の市立高校に入れる。通常、公立高校は1つの市には1校しかない。学校では、難しいクラス(オーナークラス)から、通常のクラスと、レベルごとに分かれていて、生徒は自分の能力に合ったクラスに入る。同じ学年の生徒でも、非常に高度な内容を勉強しているクラスもあれば、基礎固めに徹底しているクラスもある。

 日本の場合は、学校単位によってレベルの差が生じるが、米国では学校の中のクラス単位でレベルの差をつけている。こうした状況を考えると、就学中の子供を連れて転勤することに、躊躇することはほとんどない。むしろ家族が分かれて暮らすことの方が異常である。

放課後の活動もパパ、ママが参加

 日本の子供は幼い時から塾通いし、夕食を母親や兄弟と一緒にできないのも日常化しているようだ。これも米国では見ない景色だ。放課後の活動はパパやママがコーチを務める野球やサッカーをほぼ全員がやり、中学、高校となると先輩諸氏のコーチのもとでフットボール、バスケットや、そのほかのスポーツに勤しむ。文科系の部活動も盛んである。

 大学に入るに当たっても、こうした集団活動をしてきたのかどうかは重要な審査項目だ。塾に行くのはせいぜいSATという全国統一大学入学試験を受ける前だけくらいであろう。これも受けない子が多い。

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著者プロフィール

神谷 秀樹(みたに・ひでき)
ロバーツ・ミタニLLC創業者兼マネージング・ディレクター

神谷秀樹

1953年東京都生まれ。小学校時代をタイで過ごし、75年早稲田大学政経学部経済学科卒業後、住友銀行入行。ブラジル・ミナス・ジェライス連邦大学留学を経て、84年ゴールドマン・サックス証券に移籍。92年に日本人では初めて米国で投資銀行の「ミタニ&カンパニー・インク」を設立、95年に「ロバーツ・ミタニLLC」に社名変更。米国在住。著書に『ニューヨーク流たった5人の「大きな会社」』『さらば、強欲資本主義』(いずれも亜紀書房)『強欲資本主義 ウォール街の自爆(文春新書)、共著に『世界経済はこう変わる』(光文社新書)がある。これまでに大阪府海外アドバイザー、フランス国立ポンゼショセ大学国際経営大学院客員教授などを兼務。

(写真:丸本 孝彦)

ロバーツ・ミタニLLCのサイトはこちら



このコラムについて

神谷秀樹の「日米企業往来」

日米の巨大金融機関で勤務した後に、顧客と投資家と投資銀行家の3者の利害が一致する投資銀行を実現したいと一人で投資銀行を設立した筆者。日米の企業風土や人生の価値観などを指摘する。

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