• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

最初の研修で辞表の書き方を教える理由

2006年11月30日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 創業した最初の数年間で、僕の一番の悩みの種は、資金でもなく、信用でもありませんでした。実は一番悩んだのは社員の退職でした。人数が少ない中小企業では、1人でも辞めると仕事が完全にストップしてしまう危険が常につきまといます。

 創業間もない頃は、自信のない僕の周りに自信のない社員が集まっていたのです。社員が1人でも辞めるとその動揺が社内に伝わり、その余波を沈めるには多くの心労と時間がかかりました。社員の誰かに真剣な顔で「社長、ちょっと相談したいことがあります」と声をかけられると、「『辞めたい』と言わないで」と祈ったものでした。

 はかない願いもむなしく、社員はよく辞めていきました。今となって考えてみれば仕方のないことだったと納得できるのですが、当時は本当に辛かったことでした。

警察官になった青年

 ある年、非常に気に入ったタイプの営業社員が入社してくれました。就職先はマスコミと警察を志望していたその彼は、希望がかなわず取りあえずソフトブレーンに入社したのです。仕事がよくできるだけではなく、自分でものを考え、そして行動力もある良い青年でした。

 その彼が入社してから1年半でやはり「辞めます」と言い出しました。いつものように懸命に説得し、慰留しました。それでも意思が固い彼に「どこに再就職するの」と尋ねると、「試験を受けて警察官になる」と返答を受けました。

 僕は「警察よりIT業界の方が、将来性があると思わないか」とか、「今の会社にいる方が、多くの人と出会える」とか、考えられる限りの理由を持ち出して説得しましたが、いつものように失敗しました。その彼は、ソフトブレーンを辞めていったのでした。

10年ぶりの再会

 10年近く立ち、先月、僕はこの青年と釧路で再会を果たしました。

 釧路で開催された講演会の講師に招かれた時です。僕は控え室で待機していると、その青年が突然に現れました。「宋さん、岡(仮名)です。覚えていますか」と。すっかり大人になったのですが、一目で分かりました。

 「あっ、君はなんでこんなところに!」と言うと、「新聞で講演会の広告を見て、久しぶりに宋さんの話を聞きたいと思って友達と一緒に来ました」と汗を拭きながらいつもの爽やかな笑顔で言いました。

コメント27

「宋文洲の傍目八目」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

プロフェッショナルとして、勝負どころで安易に妥協するなら仕事をする意味がない。

手嶋 龍一 作家・ジャーナリスト