「ブックオフ社長橋本真由美の「最強の現場の創り方」」

(7)最強の“教育ママ”、ブックオフに出会う

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2007年1月10日(水)

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 23歳で結婚した私は、翌年長女を、2年後に次女を産みました。

 残飯のバケツに手をつっこんで給食の献立を考えていたあのエネルギーの、次のターゲットは、家庭でした。

 まず子供の教育。ピアノ、そろばん、お習字、お絵かき、テニス、公文式。お稽古事はあらゆるジャンルをすべて踏破した感があります。

子供が泣いても、引きずってお稽古に

 うちの娘は2人とも、私ではなく主人に似て運動が大好き。普段の勉強はさっぱりだけど運動会となれば注目される、そんな子だったんです。だからお稽古事なんて、何も続かないのです。泣いて嫌がっているのを「行きなさい」と私が眉をつり上げ引きずっていく。それでも辞めたらまた次を習わせる。

ブックオフ社長 橋本真由美氏 (写真:鈴木 愛子)
ブックオフ社長 橋本真由美氏 (写真:鈴木 愛子)

 「子供はのびのびさせなきゃだめよ、中学では部活動をさせて」なんて外でよそのお母さん方と話すときは、言っていました。でもいざ自分の子供となると話は別。お稽古事は小学校でおおかた諦めても、中学では勉強、勉強、部活なんてとんでもない、と密かにやっきになりました。

 食事にも気を遣っていました。添加物なんてもってのほか。おかずはもちろん、おやつも手作り。元栄養士の沽券に関わります。

 主人の会社の行事も、私にとっては料理の腕を発揮する舞台なのでした。運動会、タケノコ狩り、遠足。会社の行事は沢山あって、私は前日から大張り切りです。

 毎回、気合いたっぷりの手作りお弁当を持っていくのは当たり前。バーベキュー大会では、他の奥様方から「見たこともない」と声があがるような形に材料を切ってみせたこともありました。

 途中で「じゃあお疲れさま」と適当に帰っちゃう奥さんも多い中、後かたづけも最後まで残ってきちんとやりました。

仲人11組! でも、いつしかワイドショー漬けに

 奥さん方からは「橋本さんの奥さんのようにしなきゃね」と、サラリーマンを支える妻の枕詞のように、私の名前は使われました。そのせいでしょうか、会社の後輩の方の仲人を、11組も頼まれました。もちろん主人の人望ですが、私の内助の功もちょっとはあったのでは。

 とにかく妻として母として、いつも一生懸命でした。

 私たちは典型的な団塊世代の核家族、高度成長のまっただ中を生きるニューファミリーでした。福井の田舎から首都圏へ出てきて、神奈川県相模原市の、いわゆる郊外に家を買った。夫はサラリーマンで妻は専業主婦、子供は2人。おまけに妻は夫の出世と子供の教育に入れあげるという生き方まで、典型的なものでした。

 でも娘も中学、高校へあがると、次第に手もかけようがなくなってきます。成績はたかがしれている、この先、どんなに投資して何か習わせてもそう変わらないだろうと、先もある程度見えてきました。上の子は幸い県立高校に進みましたが、この先、大学にも行くだろうし、下の子もいる。いったい学費はいくらかかるんだろう…。漠然とそんな思いも込み上げてきました。

 そのころの私の毎日といえば、朝、起きて主人と子供達を送り出せば、朝のワイドショーを見る。昼は1人でご飯を食べながら、またチャンネルをひねってワイドショーを見る。夜になると、もう、レポーターの言うことを暗記できちゃうくらいです。元来、計画性のない人間なのですが、さすがの私も、自分の人生これでいいのだろうかと考え始めました。

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著者プロフィール

長田美穂(ながた・みほ)

ジャーナリスト 1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科卒業後、日本経済新聞記者を経て1999年よりフリーに。消費社会、性と社会問題をテーマに執筆。著書に『ヒット力』(日経BP社)『問題少女 生と死のボーターラインを揺れた』(PHP研究所)など。 



このコラムについて

ブックオフ社長橋本真由美の「最強の現場の創り方」

“ビジネスモデル”で考えると、ブックオフの仕組みは恐ろしいほど単純だ。にもかかわらず、ブックオフだけが勝ち残ってきた理由は、現場(店頭)にある。

 この連載では、ブックオフの強力な現場が作り出されるまでの経緯を、1号店の現場からたたき上げて社長に就任した橋本真由美氏が語り下ろす。同社の「育ての母」の生の声を存分にお聞きいただきたい。インタビューと構成は日経トレンディなどで活躍中のライター、長田美穂氏、写真は鈴木愛子氏が担当する。

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