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日本のファンド投資の魑魅魍魎

  • 神谷 秀樹

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2007年1月9日(火)

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 聞くところによれば、現在日本には約60のプライベート・エクイティ・ファンドと約300の不動産投資ファンドがあるらしい。これらのファンドは日本中を所狭しと走り回り、ライバルに負けまいと案件を作り出すべくしのぎを削っている。

 1990年代末から2000年代初頭にかけて銀行の不良債権処理がピークだった時は、それなりの数の案件もあったがメガバンクの不良債権処理はほぼ区切りがつき、またいざなぎを超える景気拡大期が続いた企業体力もつき、「失われた15年」の間にあった不良債権のバルクセールや銀行再生のような利回りのいい投資案件は減ってきた。

 その結果何が起こっているのだろう。

 ・ こんな市場環境ではまともなディールをできないと諦めた欧米系の老舗ファンドは、見切りをつけて撤退する。

 ・ 投資の成果により報酬が決まるのではなく、「とにかくやった」で評価されるサラリーマン・ファンド・マネジャーが幅を利かせる投資ファンドでは、リスクなどどこ吹く風で案件を取りに行く。その結果がどうなるかは見えている。バブル時代の不動産投資と同じで、やがて不良債権の山となる。

 ・ 案件を作れないファンドは投資家の期待に応えられずに淘汰される。

 ・ 村上ファンドではないが、法律を犯すほどのギリギリの取引に手を出す。例えばその筋が絡むような案件などである。

「悪事」をたくらむファンドの取引手口

 手の込んだ「悪事」をたくらむ輩もいる。例えば株価の低迷している会社の株を仲間内と示し合わせて集めておいて、「お宅の会社は敵対的買収者に狙われています」と何知らぬそぶりでその経営者に知らせる。それに経営者が慌てふためいたら、思うツボでファンドの皮を被った不逞の輩たちはこうささやく。

 「株価を上げるには業績改善が一番。それには含み益のある不動産を放出して譲渡益を出すのが手っ取り早いです」。なるほどと経営者に思わせたら、今度は仲間の不動産ファンドが近寄っていく。目的はセール&リースバック取引で儲けるためだ。

 セール&リースバック取引は、持ち主が現在使っている事業用不動産を売却させてから、その資産を持ち主にリースする。日本有数のIT(情報技術)メーカーも、バランスシートをスリムにするため、この手法で自社の本社ビルを売却したように、本来は資産効率を上げ、キャッシュフローを改善するのに使われる。

 だが先のような輩たちは、資産の売却を促すために家賃(リースバック費用)を市場価格より安くする、すなわち売却する資産価格を引き下げさせて、資産を買い取る。しばらくするとリース料を市場価格に戻して資産価値をつり上げて、第三者に売却する。つまりさやを抜く。彼らにすれば、こうでもしなければ儲かる取引は仕込めないということなのだろう。株を買うにしても、不動産を買うにしても、それぞれの行為は合法だが、全体の取引は「恐喝と詐欺」に極めて近いものだ。

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