日本でも最近報道されたから驚いた人も多いと思うが、この冬、米証券大手ゴールドマン・サックスが全世界の社員に支給した年間報酬の平均は約62万ドル(約7300万円)だったそうだ。勘違いしてもらっては困るが、これは社長でなく、社員への支給額だ。
おそらく、日本の社長の平均よりも多いのではないか。ちなみにゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)、ロイド・ブランクファイン氏が今年に受け取るボーナスは約5300万ドル(約63億円)で、ウォール街の史上最高額になった。
ウォール街では程度の差こそあれ、みんな多額のボーナスを手にしている。米ニューヨーク州の調査によると、ニューヨーク市内の証券会社で支払われるボーナスは前年比17%増の計239億ドル(約2兆8200億円)。全社員平均では同15%増で、1人当たり13万7580ドル(約1600万円)になる見通しだ。
英シティの忘年会では1本8000ドルのワインが
この状況はロンドンの金融街シティも同じ。シティでヘッジファンドや、プライベートエクイティファンドを手がけている連中の忘年会には、1本8000ドル(94万4000円)のワインが出ると聞いた。8000ドルといったら、数えるくらいの年代物のワインしか思いつかない。
どう考えてもおかしくないか。みんなが潤っているならともかく、ウォール街ばかりに儲けが偏っている。ウォール街に勤める人たちというのは、カネでカネを稼ぐ人たちである。米国ではウォールストリートに対して、製造業などのいわゆる実業を「メーンストリート」と呼ぶ。メーンストリートで働く人たちから、景気のいい話はあまり聞こえてこない。何だか最近は、ウォールストリートとメーンストリートの経済が分断されてしまったように感じる。
こんな状況が長続きするとは思えない。ダウ平均が最高値を更新していることといい、ウォール街の話題だけを耳にしていると、米国は景気がたいそういいように思えてしまう。しかし、実際はそんなことはない。実質国内総生産(GDP)の伸び率はじわじわ低下しているし、このクリスマス商戦だって、思ったほど活況ではない。
あなたがビル・ゲイツ会長とバーで飲んでいたら…
米国経済は慎重に見ていないとしっぺ返しを食うかもしれない。特に一部の金持ちが全体を引き上げている「統計のマジック」には要注意である。
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1934年生まれ。56年伊藤忠アメリカ入社。93年伊藤忠商事副社長。2002年3月に伊藤忠商事退社後、J・W・チャイ・コンサルタンシーを設立し社長に。ビッグプロジェクトの仕掛け人として知られる。いすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)の提携(1971年)をはじめ、トヨタ・GM提携(84年)、イトーヨーカ堂の米サウスランド(セブン―イレブンの元親会社)買収(91年)、伊藤忠、東芝の米タイム・ワーナーへの資本参加(92年)などの国際提携を演出してきた。韓国系米国人で日本在住経験もあることから、世界経済の潮流について複眼的な視点を持つ。米コネチカット州在住で、妻は自動車評論家・アナリストとして著名なマリアン・ケラー氏

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