「J・W・チャイ「コスモポリタンの眼」」

ウォール街のあきれた報酬

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2006年12月27日(水)

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 日本でも最近報道されたから驚いた人も多いと思うが、この冬、米証券大手ゴールドマン・サックスが全世界の社員に支給した年間報酬の平均は約62万ドル(約7300万円)だったそうだ。勘違いしてもらっては困るが、これは社長でなく、社員への支給額だ。

 おそらく、日本の社長の平均よりも多いのではないか。ちなみにゴールドマン・サックスのCEO(最高経営責任者)、ロイド・ブランクファイン氏が今年に受け取るボーナスは約5300万ドル(約63億円)で、ウォール街の史上最高額になった。

 ウォール街では程度の差こそあれ、みんな多額のボーナスを手にしている。米ニューヨーク州の調査によると、ニューヨーク市内の証券会社で支払われるボーナスは前年比17%増の計239億ドル(約2兆8200億円)。全社員平均では同15%増で、1人当たり13万7580ドル(約1600万円)になる見通しだ。

英シティの忘年会では1本8000ドルのワインが

 この状況はロンドンの金融街シティも同じ。シティでヘッジファンドや、プライベートエクイティファンドを手がけている連中の忘年会には、1本8000ドル(94万4000円)のワインが出ると聞いた。8000ドルといったら、数えるくらいの年代物のワインしか思いつかない。

 どう考えてもおかしくないか。みんなが潤っているならともかく、ウォール街ばかりに儲けが偏っている。ウォール街に勤める人たちというのは、カネでカネを稼ぐ人たちである。米国ではウォールストリートに対して、製造業などのいわゆる実業を「メーンストリート」と呼ぶ。メーンストリートで働く人たちから、景気のいい話はあまり聞こえてこない。何だか最近は、ウォールストリートとメーンストリートの経済が分断されてしまったように感じる。

 こんな状況が長続きするとは思えない。ダウ平均が最高値を更新していることといい、ウォール街の話題だけを耳にしていると、米国は景気がたいそういいように思えてしまう。しかし、実際はそんなことはない。実質国内総生産(GDP)の伸び率はじわじわ低下しているし、このクリスマス商戦だって、思ったほど活況ではない。

あなたがビル・ゲイツ会長とバーで飲んでいたら…

 米国経済は慎重に見ていないとしっぺ返しを食うかもしれない。特に一部の金持ちが全体を引き上げている「統計のマジック」には要注意である。

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著者プロフィール

ジェイ・W・チャイ
(Jay・W・Chai)
J・W・チャイ
・コンサルタンシー社長

ジェイ・W・チャイ( 1934年生まれ。56年伊藤忠アメリカ入社。93年伊藤忠商事副社長。2002年3月に伊藤忠商事退社後、J・W・チャイ・コンサルタンシーを設立し社長に。ビッグプロジェクトの仕掛け人として知られる。いすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズ(GM)の提携(1971年)をはじめ、トヨタ・GM提携(84年)、イトーヨーカ堂の米サウスランド(セブン―イレブンの元親会社)買収(91年)、伊藤忠、東芝の米タイム・ワーナーへの資本参加(92年)などの国際提携を演出してきた。韓国系米国人で日本在住経験もあることから、世界経済の潮流について複眼的な視点を持つ。米コネチカット州在住で、妻は自動車評論家・アナリストとして著名なマリアン・ケラー氏
(写真 村田 和聡)



このコラムについて

J・W・チャイ「コスモポリタンの眼」

トヨタ・GMの提携や、イトーヨーカ堂の米サウスランド買収など新聞の一面を飾るような数々の国際提携を演出してきた筆者。世界経済や企業経営に関するホットな話題を、日本では語られていない裏話も交えながら、独自の視点で斬る。

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