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長生きしてどこが悪いのでしょうか

2007年1月11日(木)

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 読者の皆様、新年、おめでとうございます!

 ところで、なぜ年が変わるだけでめでたいと言うのでしょうか。それは昔、新年から年齢を1つ増やす習慣があったからです。過去1年間を無事に過ごし、寿命を延ばすことができたことへの、祝福が込められているからです。

 長寿社会とは、素晴らしい社会です。誇りに思うべきです。長生きは悠久の昔から、人間が最大にして最後の願い事として追い求めてきたものだからです。

 「中国統一」という前人未踏の偉業を達成した始皇帝が、死ぬまで希求したのは長生きでした。以前の記事「誰でも恐れるもの、誰にも必要なもの」で紹介しましたが、始皇帝は長寿の薬を求めるために、徐福という人を東海の国、日本に派遣しました。そんな薬は見つからないと考える徐福は、処罰を恐れ1000人の若い男女を連れて日本に渡来し、定住して戻らなかったそうです。

 それから2000年、もし始皇帝が現世の日本を見たら、「やはり日本には、長寿の薬があった」と言うに違いありません。日本は世界一の長寿国にだからです。

嫌いな言葉、老齢化社会

 僕が嫌な言葉の1つが、「老齢化社会」です。もっと嫌なのは、長生きしている人が多い社会を不幸と衰退が待ち受けている、かのようにとらえる議論です。

 全体の人口の中で年を取った人の比率が高くなることを暗い未来という人は、病気になっても治療せず、ヘルシーな食生活をやめ、悪い空気が充満するような場所に率先して住むべきでしょう。それで早死にしたら、人口構成比の歪みを少しでも緩和することに役立つはずです。

 もちろん、本気でこんなふうに思っているのではありません。あえて、僕が言いたいことを分かりやすく伝えたいために、たとえただけです。前回の記事「人口が減ってどこが悪いのでしょう」で様々なコメントを頂きました。

   ご指摘の中で多くあったのが、問題は人口減少というよりは高齢者が全体の人口に占める比率が高いことだ、というものです。こうした指摘は、どこかお年寄りを厄介者のように扱っている、と僕には思えてなりません。

 「そんなことは言ってはいない」という反論もあると思いますが、僕には「あなたたちが長生きしているために、いびつなのです」と言うのにに等しいと思います。ですから、比率が高いことをとやかく問題にするのではなく、それを受け入れてうまくやっていく方策を、議論していくべきだと言いたいのです。その方策は、少子化対策ではないと言うのが、前回の記事をご覧になれば、お分かりいただけると思います。

 日本は新しい経済モデルが必要です。長生きできる人が増え、子供の人数が増えなくなる世の中になると、戦後経済で通用してきた生産モデル、消費モデルと福祉モデルは通用しなくなります。しかし、変革はいつの時代でも必要です。

「高齢者」は、誰のことでしょうか

 そもそも「高齢」とは、何歳からでしょうか。60代のあなたが「高齢者」と呼ばれたら納得しますか。それなら30代のあなたは「中年」、20代のあなたは中年の一歩手前だと言えます。

 「三十にして立つ、四十にしては不惑、五十にして天命を知る」

 孔子の言葉だとは分からなくても、このフレーズはほとんどの人がどこかで聞いているでしょう。ただし「五十にして…」の次が、どんなフレーズなのかを覚えている人は少ないのではないしょうか。

 「六十にして耳順ひ、七十にして心の欲する所に従ひて矩(わく)を踰(こ)えず」

 高齢になるほど人の幅は広がっていく。そう孔子の考えるとおりに人が年を取っていけば、高齢化の進展は、豊かな人間性を兼ね備えた人たちが増えた社会が作り上げられていく、と言えます。

 孔子の時代の基準で考えると、現在の日本社会の「高齢者」は80代の方々になるでしょう。中年は50代で、壮年は60代になります。これはなかなか実感に合いませんか。

 比率を問題にするのは好きではありませんが、「高齢者」の基準を65歳から75歳に変えるだけで、日本の人口構造の問題は変貌します。いびつな構造ではなく、ごく普通の正常な構造になるのです。

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川野 幸夫 ヤオコー 会長