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アニメは“量産化”の罠にはまった

アニメ・ビジネス・フォーラム2007@NBonline

  • 中村 均

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2007年2月2日(金)

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 作品を制作し、成立した著作権(=著作財産権)を行使して、作品のDVD化や商品化を許諾することで得られるのが版権ビジネス収入だ。いわゆるライセンスビジネスにおけるロイヤルティー収入である。一般に玩具などの商品化の場合、ロイヤルティー率は商品の小売価格の3~5%程度に設定されている。

 現在、コーナー展開ができるほど多数のアイテムを商品化するアニメ番組は少ない。実際、玩具売り場を覗くとキャラクター商品で目につくのは「ガンダム」や「ドラえもん」を筆頭に、「アンパンマン」「ポケモン」「ドラゴンボール」など定番シリーズばかり。これらに加え特撮の「仮面ライダー」「スーパー戦隊」シリーズ、「ウルトラマン」などの商品が中心だ。比較的新しい作品はというと、女児向けで久々のヒットとなった「ふたりはプリキュア」シリーズくらいしかない。実は、こうした状況が数年続いているのだ。

セルDVDマーケットでの回収モデルが揺らぐ

 数多く制作されている作品の多くは、どこで稼いでいるのか。それがDVD化などによるパッケージ販売収入(のロイヤルティー)だ。

 最近のテレビアニメの多くは、放送期間を1クール(3カ月)あるいは2クールに設定している。こうしたものは宣伝などのマーケティング期間を考慮すると、そもそも視聴者にアピールするための時間が足りないため、玩具などの商品化には向かない。

 その代わり、コンテンツの保有意欲が高いコアファンに受ける演出を施し、DVDのセールスによって制作費をリクープ(回収)するビジネスモデルを採用しているわけだ。従って、狙う市場はレンタルDVDではなく、セル中心となる。

図2 アニメDVDの売り上げ推移

図2 アニメDVDの売り上げ推移

 ところが、2006年後半に入って収益の大半を頼るセルDVDマーケットに元気がなくなってきた。日本映像ソフト協会(JVA)のデータによると、セルDVD市場全体では、新作タイトル数が前年増にもかかわらず、金額ベースでマイナス成長となっている。その中でアニメーション分野の数字を見ると、2006年1~6月実績では金額ベースで106.5%成長と健闘しているが、タイトル数の伸びは12.2%でこれを大きく上回る。これは「ガンダムなどの一部の売れるタイトルと、そうではないタイトルの差が極端になってきた」(大手アニメ販売事業者)ためという。例えば2005年下期の売上高が大きく膨らんでいるのは「ハウルの動く城」と、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」、映画版の「機動戦士Zガンダム」のリリースによるものだ。

 背景には、HDDレコーダーの普及といったいくつかの理由があるが、いずれにせよアニメ各社にとって厳しい環境を招く大きな要因となっている。リクープできない作品はどんどん増えているのだ。

過当競争などにより海外向け相場が下落

 北米や欧州など海外向けに、テレビ放映権やDVD化権、商品化権などを販売する海外ライセンス収入は、最近のアニメ・ビジネスにおいて重要度が年々高まっている。

 テレビシリーズの取引形態は、映像のみの権利を販売するケースと、映像と商品化などの権利を切り分けずにすべての権利(=オールライツ)を販売するケースの2通りがある。ただし、後者であっても映画化や実写化などの権利は含まれない。

 実は、日本製アニメは海外向けマーケットでは“優等生”と言われ続けていた。その理由は、相対的な比較によるもの――。つまり、ハリウッド映画が中心の国際市場において、日本の実写ドラマや映画が、全くと言っていいほど競争力を持っていなかったためである。

 一方、日本の文化を背景にしつつも、「実際の日本人」が映像として登場しないアニメの場合は、その無国籍なテイストが欧米でも受け入れられ、特撮映画の「ゴジラ」と並んで、数少ない輸出商品として市場に浸透していった。

 とはいえ、1990年代半ばまでの北米向け価格は、日本でヒットした作品であっても1話当たり数千ドル程度。需要の大半が北米の場合、ローカル局やセルビデオ向けだったため、なかなか1話1万ドルの“大台”を超えることができなかった。

 こうした中、ついに1万ドルの壁を破る作品が登場した。それが95年からテレビ東京系で放映されたガイナックス作品の「新世紀エヴァンゲリオン」。

 その後、99年に「ポケットモンスター」シリーズが世界的に大ヒットしたおかげで、日本製アニメは追い風に乗り、取引相場は急騰。2001~04年頃までは1話当たり4万ドル前後の取引が成立していた。一部には、(契約形態にもよるが)8万ドル前後の作品もあったという。こうした流れから、多くの作品で海外ビジネスを当初から組み込んだ収支計画が組まれるようになっていった。

 しかし、国内のテレビアニメの放送が週80~100本となったのに伴い、国際マーケットにも大量の作品が投入されることになってきた。

コメント19件コメント/レビュー

玩具売り場で新作のアニメグッズを見ない、という点ですが、売り場の意識にも問題があるように見受けられます。アニメグッズは子供とオタクの買うもの、子供向けの玩具売り場には子供受けする商品をそろえ、オタク向けの商品はオタクが行く店に任せればいい、という店側の姿勢が見えます。店側としては、店舗の雰囲気やある種の品位を勘案しているのでしょうが、売れる商材に対する不勉強や売上げを逃すことに対する危機感がない、ということになっている気がします。また、販売元も玩具売り場をマーケットとして開拓する努力が足りないのでは、と思います。(2007/02/08)

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玩具売り場で新作のアニメグッズを見ない、という点ですが、売り場の意識にも問題があるように見受けられます。アニメグッズは子供とオタクの買うもの、子供向けの玩具売り場には子供受けする商品をそろえ、オタク向けの商品はオタクが行く店に任せればいい、という店側の姿勢が見えます。店側としては、店舗の雰囲気やある種の品位を勘案しているのでしょうが、売れる商材に対する不勉強や売上げを逃すことに対する危機感がない、ということになっている気がします。また、販売元も玩具売り場をマーケットとして開拓する努力が足りないのでは、と思います。(2007/02/08)

やっぱりこの記事の基本は「質の高い作品というのはどういうものか」ということにつきると思います。「質が高い」とは、子供がみれてお行儀がよく文部科学省からお墨付きがもらえてしまうような作品のことか、単に売れる作品(売れればいい訳だから中身はなんでもいい)のことか、それともそれ以外のものか。ここがハッキリしなければ、いい作品がない、それを創らなければならない、と言われても本質の意味は不明になってしまうと思います。お行儀がよくて売れる作品を、つまりディズニーのようなものなのか、「とにかくなんでも売れるものを」か、またはそれ以外か。これが不明では今後の話の進み具合もあやふやになるでしょう。単に「質の高い作品を!!」と叫ぶことは誰にでも出来る事です。まあ、最も仮に「いい作品=売れる作品」でもいいとは思いますけど、経済紙なんだし(笑)(2007/02/07)

粗製濫造は事実萌えが持てはやされたもの量産のしやすさが理由の一つただ当然、萌えを嫌う又は駄作と同意に捉えるオタクも多ければちゃんとしたものを作ろうというクリエイターだっている業界人が危機感を持っているのは救いだと思う。むしろ無批判なオタク層のほうが危険。(2007/02/06)

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