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日本企業が無縁ではいられない
『不都合な真実』

2007年2月1日(木)

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 『不都合な真実』(原題『An inconvenient truth』)という本の日本語版が出版され、同名の映画も上映されている。ご存じの方も多いだろうが、ゴア元米副大統領の手になるもので、地球温暖化とその影響という問題に正面から取り組んでいる。

 個人的には「やっと日本語版が出たな」という感覚が強い。というのも、昨年後半、米国やEC(欧州共同体)諸国に出張するたびに、必ずと言っていいほどこの本・映画の話になり、あまりの頻繁さにびっくりした経験があるからだ。

 出張先で会う人たちは、ほとんどの場合、経営に関わる方々であり、特に環境運動に熱心な人というわけではない。なのに、異口同音に「あの映画は見たか」「本は読んだか」「どう思うか」と議論を吹っかけてくる。

環境問題を再認識させる激烈な天災の記憶

 なぜ、これほどの影響を及ぼしているコンテンツなのかと聞いてみると、返ってきた答えは次のようなものであった。

・用いられているデータに、論理的かつ科学的な裏づけがあるので、経営者にとって、ほとんど初めて「腑に落ちる」内容の、温暖化議論が展開されている。
・非常に美しいビジュアルが効果的に使われていて、印象的である。
・複数の航空会社で映画版が機内上映されたため、多くのビジネスパーソンの目に触れた。
・そして何より、温暖化の問題が遠い将来の話ではなく、我々の生活に対して、既に様々な影響を及ぼし始めていると実感させる内容だ。

 私は、特に最後のポイントが決め手ではないか、と受け止めた。同書の中でも触れられているが、ハリケーン・カトリーナによって、ニューオーリンズが壊滅的な被害を受けたことは、人々に強烈な印象を残した。こういった「従来より強度を大きく増したハリケーン群」や「増加する竜巻、洪水、森林火災等による大きな被害」が、温暖化と関係している可能性が極めて高いというゴア氏の主張は、激烈な天災の記憶と相まって、広範囲に大きな影響を及ぼしたように見受けられる。

 言い換えれば、大きな災害が発生することで初めて、「何となく大事なことだとは思うが、はっきりとした実感がわかない」温暖化という事象が、多くの人々にとって重要課題として認識された、ということでもある。

 実際に、最近の米国における環境意識の高まりは、想像以上だ。もともと、EC諸国と違い、企業の多くも、現政権も、環境、特に温暖化問題については、腰が引けた対応を示してきたのだが、昨今、様変わりの状況にある。

 『不都合な真実』の影響もあるのだろうが、国民の環境意識の高まりを受けてか、ブッシュ大統領自身も、ごく最近(エネルギー安全保障という名目ではあるが)環境対応を重点施策として打ち出すに至っている。名だたる大企業のトップが連名で、地球温暖化対策のアピールを出したのも、記憶に新しい。

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「日本企業が無縁ではいられない
『不都合な真実』」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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