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プロデューサーよ、負け犬になるな
~プロダクションI.G石川光久社長インタビュー(後編)

アニメ・ビジネス・フォーラム2007@NBonline

  • 中村 均

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2007年3月5日(月)

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――いいものを作って、きちんと利益も出す。これは企業の継続性の基本ですから、一般の会社もクリエーティブな会社も同じですね。株式公開もそのためにやってこそだと。

 そこを押さえなければ会社として意味がないでしょ。株式公開自体が目的じゃないんだから。アニメ制作会社が株式を「公開する」「しない」というのは、個々の会社の経営戦略にかかわる問題なので、どっちがいいとか悪いとかは言えない。僕は会社として次のステージに進む準備ができたから、公開して良かったと思っている。

 だけど、目的もなくアニメ会社が株式公開をするのは、どうかなと思う。なぜなら、変な格差だけが生まれてしまう可能性があるからなんだよね。

あからさまな格差は業界を破綻させる

 例えば、公開した会社の経営陣の収入だけは“どーん”と良くて、現場のクリエーターは相変わらずというのはまずいでしょ。さらに公開会社とそうじゃない会社の間に賃金格差があるのも、これはこれで問題じゃないかな。

 この点については公開企業として、そしてアニメ業界の一員としての責任をきちんと考えないといけない。格差が生まれることが、今のアニメ業界にどういう影響を与えているのか、いつも自分に問いつめているんですよ。

 だから、世間がどう思っているか知らないけど、意外にプロダクション・アイジー(I,G)の社員の給料はそんなに高くない。僕はそれが正しいと思っているんです。自分も役員も含めてね。

 やっぱりフリーのアニメーターと社員の年収に格差がある関係って、作品を作っていくうえでも、人との交流やネットワークを作っていくうえでもよくない。

 この業界は横のネットワークを生かして本(脚本)作りから絵作りをやっている。だから、あからさまに格差がつく構造になっていくと、産業として間違った方向へ行っちゃうんじゃないかと思うんです。いい品質の作品を作る「精神の源泉」が枯れちゃうんじゃないかとね。

――「格差」は人間のモチベーションに大きな影響を及ぼしますね。「あいつはうまいことやっていて、俺たちへの支払いはこれだけかよ」となると、仕事に対する姿勢が変わってしまうかもしれませんね。

 まさに、その問題だと思うんです。やる気が出ないですよね。だからI.Gは公開したことで、アニメ業界に対しても責任があるんですよ。

 制作会社が公開していくことによって、アニメ業界が崩壊しては全く意味がないでしょ。そうなったら、「やっぱりアニメ業界の人間が経営なんてできないんだ」とか、「お前らは黙って仕事さえしていればいいんだ」という20年前、30年前の権利のない下請け体制に戻ってしまうと思うんですね。

デジタル3Dのインフラを仕込む

――となると公開した資金の使い道も、基盤整備などへの投資になりますね。

石川光久・プロダクションI.G社長

石川光久・プロダクションI.G社長

 そうですね。公開したら余計なことをするんじゃなくて、公開したお金を将来のための基礎を作るところに投入していく。

 ただ、この場合はすぐに結果は出ないよね。やっぱり3年とか5年はかかる。そして3年、5年後には株主の皆さんに「投資してよかった」と思ってもらえる会社を目指して“根”の張った経営をすることが重要だと思っている。

 確かに昨年を振り返ると、I.Gはエンターテインメント業界を代表するようなヒットは出していない。けれども、将来に向けた種まきを自分はやってきたと自負している。これは本当に負け惜しみではなくてね。

 公開した当時から言ってましたけど、1年目で結果を出すというよりも、1年目は種をまき、そして根を下ろす段階。それで必ず3年後、5年後に答えを出す。実際、その時期に向けて劇場向けの大型作品がきちんと世に出るように、現在制作中ですから。

――今は仕込みの時期ということですね。

 作品的にも仕込んでいるし、インフラ的にも仕込んでいる。特にデジタル3Dに関しても設備やクリエーターの教育に関して大きな投資をしている。

 その1つが府中につくったCG開発のIG-FIXスタジオ内にフジテレビジョンと共同で立ち上げたLLP(有限責任事業組合)のFILM(エフアイエルエム=フジ・IG・ラボラトリー・フォー・ムービーズ)。

 ここはフルCGアニメや映画のCG処理、ポストプロダクション用に立ち上げた。手がける作品も増えてきて、うまく軌道に乗りそうだね。

 ちなみに、これも補完の関係だと思っている。3D分野は1社だけで強くなろうとしても限界がある。やはり得意分野を持つ企業との連携が必要。今回はテレビ局の中でもデジタル処理技術において先進的なフジテレビと組んだわけ。

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