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「顧客満足」という言葉の薄っぺらさ
~「職商人」に見る経営の本質

アナログ経営のモデルは中小企業にあり

  • 常盤文克

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2007年2月20日(火)

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 前回のコラムでは、日本の経済成長を陰で支えてきた中小企業の生き方を、大企業はもっと学ぶべきだと指摘しました。今回はもう少し具体的な例を挙げながら、中小企業のお話を続けてみたいと思います。

 最近の大企業の経営が、デジタルな発想に偏ってきていることは、以前にも指摘した通りです。事実、四半期という短期的な決算に一喜一憂し、数値的なデータを重視する米国流の経営が一般的になっています。それを全面的に否定するわけではありませんが、行き過ぎを是正して「アナログ経営」に少し針を戻す時期に来ているように思えてならないのです。

デジタル一辺倒で「創造」を忘れるな

 そんなアナログ経営の1つのモデルが、実は中小企業にあります。

 デジタル化が進む大企業では、数値化されたデータを解析し、コストとかリードタイムの短縮、人件費の削減といった項目に気を取られています。一部では、そんなデジタル経営に偏って見かけ上の効率ばかりを追い、いかにモノやサービスを安くするかという低価格競争路線が、成長戦略の柱になっています。

 私が心配しているのは、コストの削減や効率の向上とかばかりに頭がいってしまうと、企業活動で最も重要な「価値を創造すること」を忘れてしまうことです。つまり、モノを創り出すというところに頭がいかず、創造に対して思考停止状態に陥ってしまうのです。仮にコストがゼロ、効率が100%になったとしても、創造を忘れ、モノの価値までがゼロになってしまっては意味がありません。

 一方、大半の中小企業はアナログな部分が多く、数値で表せない熟練職人やベテラン社員の経験や技、勘などを大切にしています。職場は小さな組織なので、血の通ったアナログなコミュニケーションが交わされています。

 以前も何度か触れましたが、この血の通った人の温もりのあるコミュニケーション、つまり社員同士の「深い対話」という原点に戻ることが、より強い、より元気な集団をつくる出発点になります。ここで集団が個を育て、個が集団を育てる好循環が生まれ、個と集団がひとつになるのです。そんな「新・家族主義」を実践する中で仕事をしているのが、中小企業であることを見逃してはなりません。

「売り手」と「買い手」は一体不可分

 ここで注目したいのが、「職商人(しょくあきんど)」の存在です。職商人とは、モノづくりに打ち込む「職人」であると同時に、そのモノをお客に自ら売る「商人」でもあります。つまり、職人と商人の器量を兼ね備えた人たちです。多くの中小企業は、この職商人に近い存在だと言っていいでしょう。

 モノを作って売るという行為は、買って使ってくれる人がいなければ成立しません。「作る」と「使う」、「売る」と「買う」という行為は、職商人にとって一体不可分なのです。同時に、買って使ってもらうことが、次の作る・売るにつながっていくという循環の発想も、職商人のものです。いいものを作ればお客がきっと評価してくれる。それが励みとなって、もっといいものを作ろうという前向きな力が湧いてくるのです。

コメント4件コメント/レビュー

「大中小の持ち味を融合できる仕組みづくりを」に、コメントです。説明が少ししか無いので詳細はわかりませんが、規模を求めないようなことを言っている割には、結局のところを、「連合体や事業組合」といった規模の経済観念を持ち込んでいるとしか理解できませんでした。(2007/02/22)

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「大中小の持ち味を融合できる仕組みづくりを」に、コメントです。説明が少ししか無いので詳細はわかりませんが、規模を求めないようなことを言っている割には、結局のところを、「連合体や事業組合」といった規模の経済観念を持ち込んでいるとしか理解できませんでした。(2007/02/22)

アナログ経営の最も重要な問題点である「どんぶり勘定」で無駄の多い経営であること。楽で低い目標に甘んじたり、変化を認識できずターゲットとする市場を見失うなどするあまり、自己改革に失敗し大きな流れに乗り遅れたり、ターゲットを見誤った投資・資本投入などをすること。といった問題点から完全に目をそむけて、レトロで古きよき時代を懐かしむかのようにアナログ経営を賛美するかのは完全に筋違いに思われる。現在の日本では、特に「公」に関わる分野で未だ数多くの場所で「どんぶり勘定」がまかり通っており、極めて不効率な場所は少なくない。たとえデジタル経営の行き過ぎを案じて時計の針を若干戻そうという考えであったにせよ、こうした議論をするのはまだ早計に思われる。少なくともただ単純に古きよき時代を懐かしむのではなく昔の悪かった点を明記し、その改善策を提示できなければ、こうした時間の針を戻すようなことを知らしめる権利は無いのではないかと考える。お題目のように「顧客満足」を掲げるが、手元にいる顧客の満足だけを追求していては、将来顧客となりえるはずの客のニーズやウォンツを掘り出すことができないことは少なからずある。そんな程度の「顧客満足」で利益を得ようと考えるのは少々甘すぎるように思われる。(2007/02/20)

現代のモノづくりには、「いらない」「余計な」「廃れる」モノづくりが氾濫している。 ファッションや、携帯電話の買替えサイクルの早いことなどはその端的な例だ。  長く、大事に丁寧に使えば、本モノのよさは自ずと見えてくるのだが、市場原理はそれを容認しない。   日本のものづくりとういうと、熟練のノウハウや技の話ばかり。失われつつあるのは、モノづくりというより、モノを大事にする心ではないのか。 「修理するより、買ったほうが、きれいで安い」という価値観を先導してきたのは、買い手ではないはずだ。(2007/02/20)

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三品 和広 神戸大学教授