「宋文洲の傍目八目」

日本は本当に「環境先進国」なのでしょうか

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2007年2月22日(木)

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 先日、北京と上海に1週間ほど滞在しました。滞在中、世界的な異常気象が起きていることを痛感しました。北京は大変な暖冬で、いつもなら11月には降る雪が、今シーズンは昨年12月末に少し降っただけだそうです(注: 1ページ目の文末に、ご連絡があります)。東京も初雪がないまま春一番が吹きました。これも驚くべきことらしいですが、北京の緯度は日本の秋田県や岩手県と同じくらいなことを考えると、その異常ぶりも分かっていただけると思います。

 環境悪化に対する懸念は、中国市民と政府の感覚もさほど違わないようです。北京市の中南海に住んでいる党や政府首脳も、市民と同じ空気を吸わざるを得ないからです。石炭への依存を減らし、公害の少ない工業製品への切り替えなどの努力は確実に進められています。

環境の悪化は止まらない

 日本をはじめ中国などそれぞれの国々は、対策に取り組んでいます。それでも環境破壊は止まらないでしょう。地球上の人々がどこかで生活スタイルを変えない限り、いつか破滅の日を迎えると思います。

 10年前まで、僕はよく雑談で「中国には絶対、モータリゼーションの時代は来ない」と言っていました。その根拠は中国の発展を疑ったのではなく、13億の人々が車を持つと石油がなくなるし、空気が汚れてしまうと思ったからです。ところが、今の中国はまさにモータリゼーション(自動車の大衆化)の最中にあります。車の年間販売台数も生産台数もまもなく世界一になります。

 中国だけではありません。インドもベトナムも、あらゆる発展途上国はやがて先進国の来た同じ道をたどることになります。先進国の住民であろうと発展途上国の住民であろうと、地球上のすべての人々がライフスタイルを根本的に変えない限り、モータリゼーションの広がりを食い止めることはできないでしょう。先進国の人々が発展途上国の人々に向かって「あなた方は後で豊かになったから車を持つ資格がない」と言えません。

誰がこのパターンを定着させたか

 今は亡き「きんさん、ぎんさん」を覚えておられますか。双子で共に100歳を超えたこのお婆さんに、ある記者が「今の時代をどう思いますか」と尋ねた時に返ってきた答えが、印象的でした。たしかきんさんだったと思いますが、「5人も乗れる車に、いつも1人か2人しか乗らないのはもったいない」と言われていました。

【お詫び】
当初、今回の記事で、北京では今シーズンに(原稿掲載時点で)一度も雪が降っていないと記述しましたが、読者のご指摘で気象データを調べたところ、実際には昨年12月30日に降雪がありました。ただし、気温が高いためにすぐ解けてしまい、ほとんど積もることがありませんでした。このため、北京市民でも、「今シーズンは雪が降っていない」と思っている人が多いようです。執筆の際、市民から聞いた話のみで気象データを調べなかったのは、私の怠慢であります。誠に申し訳ございませんでした。今後も事実と違う部分があれば、ご指摘ください。

【編集部注】 関連する記述を訂正いたしました。

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著者プロフィール

宋 文洲(そう・ぶんしゅう)
ソフトブレーン
マネージメント・アドバイザー

そう・ぶんしゅう

1963年6月中国山東省生まれ。84年中国・東北大学を卒業後、日本に国費留学する。90年北海道大学大学院工学研究科を修了。天安門事件で帰国を断念し、日本で就職したが、勤務先が倒産。92年ソフト販売会社のソフトブレーンを創業し、代表取締役社長に就任、99年2月代表取締役会長に。2000年12月に東証マザーズ上場、2005年6月に東証1部上場を果たす。2006年1月代表権を返上し取締役会長に、同年8月31日、「もう1人の社長」「陰の実力者にならない」として、取締役会長を辞任し、マネージメント・アドバイザーに就任する。(写真:川口 愛)



このコラムについて

宋文洲の傍目八目

日本人が意外と気づかない視点を、『ここが変だよ日本の管理職』『やっぱり変だよ日本の営業』などの著書でおなじみのソフトブレーンのマネージメント・アドバイザーである宋文洲氏が独特の切り口で紹介します。

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