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GMへの売却、成立の確率は30%

クライスラー売却交渉の舞台裏

  • J・W・チャイ

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2007年2月27日(火)

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 ダイムラークライスラーが、米クライスラーグループの売却を米ゼネラル・モーターズ(GM)に打診した。このニュースを聞いて、日本の読者は耳を疑ったはずだ。かつては米ビッグスリーの一角を占めたクライスラーが売却されるという事実もさることながら、「何で売却先がGMなのか」と首を傾げた人が多かったのではないか。

 無理もない。GMと言えば、北米事業の不振によって、少し前までは存続の危機がささやかれていた。このところ業績に底入れ感が出ているとはいえ、依然として再建途上にある。そんな会社がよりによって、経営状況の厳しいクライスラーを買収するなんて、普通で考えたら、あり得ない。

1500~2000人の採用と100億ドルの当面の運転資金が必要

 ダイムラーはなぜ、GMに打診したのか。そこにはやむを得ない事情があった。実は今のクライスラーは会社の体をなしていない。ドイツのダイムラー・ベンツが米クライスラーを買収してダイムラークライスラーが誕生したのが1998年。それ以降、ダイムラーは統合効果を出すために、クライスラーの事務部門を徐々に合理化してきた。

 その結果、今のクライスラーには財務や開発などに人材がいない。実質的に残っているのは、マーケティング、営業、生産などの部門だけだ。要するに、今のまま切り離したら、独力では運営できない姿になっている。

 ダイムラーはクライスラー部門の今後の扱いを検討するために、JPモルガンと契約を結んだ。現在、JPモルガンはクライスラーを競売にかけるための準備を進めている。売り先として浮上するのは、資金力のあるプライベートエクイティ(未公開株)などのファンドである。

 しかし、ファンドに売る場合、クライスラーを一本立ちさせておかなければならない。そのためには、新たに1500~2000人を採用する必要があると、ダイムラーは試算している。併せて、当面の運転資金として100億ドルが必要になると言われている。資金はともかく、人材の調達は一朝一夕にはいかない。これがクライスラーを売却する際の障害となっている。

大型SUVの共同開発がきっかけ

 では、今のままのクライスラーを受け入れることができる企業はどこか。そこで浮上したのがGMである。既に米国に大規模な財務やエンジニアリングの部隊を持つGMであれば、それが可能だ。米フォード・モーターが極度の不振に陥っている今、世界の自動車メーカーでクライスラーを丸ごと引き受けることができるのはGMくらいしか見当たらないのだ。

 だから、ダイムラーはGMに打診した。株主への説明責任を果たすため、競売の形を取るが、その前にダイムラーがGMに声をかけたのはそんな背景からだ。この話はもともと昨年12月、両社が大型SUV(多目的スポーツ車)の今後の共同開発について協議に入ったことに端を発している。その協議の過程で、ダイムラーのディーター・ツェッチェ社長からGMのリック・ワゴナー会長に売却の打診があった。

 ツェッチェ氏自身は、現職に就く前はクライスラーのCEO(最高経営責任者)だった。彼がいた当時、クライスラーは魅力的なクルマを投入して復活した経緯がある。そのせいか、必ずしもツェッチェ氏がクライスラーを売りたがっているわけではない。だが、最近のクライスラーの業績不振を受けて、機関投資家などから「切り放し」を求める声が強まっていた。ツェッチェ氏はそうした圧力に抗しきれなくなったようだ。

妙味あるも、効率性を考えれば?

 一方、ダイムラーからの打診を受けて、GMはどう反応したか。客観的に見れば、クライスラーを買収することに経済合理性があるとは思えない。もちろん金額次第だが、車種や市場が重なることを踏まえれば、筋の良い組み合わせとは言えないだろう。GMとクライスラーを合わせたら、米国のシェアは37.5%になるが、ブランド数は10を、ディラーの拠点は1万台を超える。これに対してトヨタ自動車は、たった3ブランド、ディラー数1400店でシェアは15.4%である。どちらが効率的かは明らかだ。

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