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(16)役員、家賃交渉をしてください!

  • 長田 美穂

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2007年3月14日(水)

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第15回から読む

 「このままでは会社がつぶれる」
 聞いたことがないほど暗い坂本(孝・当時社長、現会長)の声に驚き、私はリユース部門の立て直しに取りかかりました。しかし、最初に乗り込んだ「ビーキッズ」多摩永山店は、前回でお話ししたとおり、制御不能のありさまでした。

ブックオフ社長 橋本真由美氏 (写真:鈴木 愛子)

ブックオフ社長 橋本真由美氏 (写真:鈴木 愛子)

 「人」に手をつけざるを得ないと判断しました。私は店の人全員と一人ひとり面談をして、今後この店を続けていく気持ちがあるのか話し合うことにしました。

 女性たちの反応は、大きく3つ。「一緒にやっていきたい。やります」と言ってくれる人。俯いてしまう人。そして反感を露わにする人。

 俯いてしまう人には、「あなたを責めているわけではないけれど、店の赤字は会社の危機につながる。一緒に頑張ってもらいたいの」と説得をしました。何人かの方は、「わかりました、やります」と答えてくれました。

 反発を隠さない方には、話はしましたが、最終的には辞めていただきました。もちろん「これまでありがとう」と感謝の気持ちは伝えました。

 でも、前回お話しした、笑っていた彼女との面接の時だけは、私は怒りを抑え切れなくなりました。

 「停電の時、あなた笑って見ていたよね。あなたの姿を見て、私は悲しかった。私だったら手伝うよ。あれほど店が困っていた状況だったら」

 彼女にも辞めてもらうことになりました。
 結局20人のうち残ったのは10人でした。さらにその後1~2カ月のうちに数人が辞め、最終的には6~7人の元メンバーが私と共に働く決意をしてくれました。

 ごたごたはありました。が、もう全力投球するしかない。
 まずは大家さんと家賃交渉を始めました。

門前払いを食らう役員の方もいましたが…

 「私たちも頑張ります。でも本部も力を貸してほしいんです。役員のみなさんは、家賃交渉に動いていただきたいんです」

 私は役員会で訴えました。各役員は自分の持ち場を決められ、大家さんへ値下げの交渉へ出かける日々が始まりました。普通なら家賃の交渉は、契約満了で更新時期に切り出すもの。契約途中のお願いなど、異例の事態です。

 門前払いを食らい、辛い思いをした人も出ました。でも「30万円下げてもらった」「2年限定だけど10万円下がった」等々、店舗に連絡すると、店の店長が役員に「ありがとうございました!」とお礼のファクスを送ります。役員はまた、頑張ろうと動いてくれます。

 多摩永山店は家具屋さんがあったビルに入っています。役員が大家さんに訴えて、キッズ、婦人服、スポーツ用品など4フロア合計100万円下げていただいたのです。これは助かりました。

 家賃の値下げと、先に述べた買い取りの値付けを徹底。そして1年で最も売れる勝負の月、1月を迎えました。月末、レジを締めるとなんと1000万円の黒字に転換したのです。

 俄然、スタッフもやる気がわいてきました。

 キッズ事業では子供用品がいかに多岐にわたろうとも、買い取り基準を一つひとつ作るしかない、との結論に達しました。

 赤ちゃんのおまるを例にとりましょう。まずは形。普通のおまるか、下に台が付いているか。さらにフタ付きか、トイレットペーパーホルダー付きか。おまるを取れば踏み台になる形かどうか。こういった形の基準を作ります。

 そこにキャラクターの有無が加わります。キャラクターなしか、普通のクマとか猫なのか。こうしていくつもの要素をマトリックスにして、表を作るのです。キャラクターものでフタ付きなら「A」で買い取る、といった具合です。

 これをおんぶひも、ベビーベッド、サークル、ベビーカー、おむつを捨てるバケツなど、30近くのアイテムについて作りました。おんぶひもも昔と違って「前抱っこ」「横抱っこ」「新生児用」と細分化されているのには、時代の変化かと驚きました。

 洋服も同じです。服の状態に加えてキャラクターものかブランドものか、等々、一定の商品知識を蓄えたうえでマトリックスを作りました。

子供服の買い取りを通年に

 これは本の買い取りマニュアル作りより、ずっと膨大で込み入ったものになりました。今もまだ「完成」とは言えないかもしれませんが、「ある程度はできた」と思えたのは、実際は作業を始めて3~4年たってからのことでした。

 買い取りそのものについても、徹底的に見直しました。

 子供はすぐに成長するので、お母さん方は子供服の多くは1シーズンしか使えません。夏が終わると、「夏の服はもう処分したい」と思う。けれども買いにくるお客様に、秋になってから夏の服を出しても見向きもされない。だからこれまでは、8月の中旬になると「夏物の買い取りは終わりました」と張り紙を出していました。でも私は、それが納得できなかった。せっかく売りたいお客様がいるのにお断りするなんて、売る本を確保するのに苦労したブックオフ初期の時代を知る者としては、感覚的におかしいと。

 そこで通年買い取って、こちらで保存をしたうえで翌シーズン売ることにしました。それもちょっとシーズンより早めに出すのです。すると意外にも、動きました。2月に夏物を出してみたら、思いがけずよく売れたこともありました。

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