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石垣に学ぶダイバーシティーマネジメント

「個」の時代こそ多様性に目を向けよう

  • 常盤 文克

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2007年3月19日(月)

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 いま、「個の時代」とか「個の尊重」などと言われ、「個」に光が当たっています。はやりの成果主義や能力主義という考え方も、こうした個への強い関心の1つの表れではないでしょうか。
 
 様々な個から成る集団においても、個の多様性が重要だとされています。多様な価値観や生き方を大切にしようという考えです。
 
 しかし、多様な個が集まったままでは、10人いれば10の、100人いれば100の個がバラバラに存在するだけで、貴重なヒトという資源が拡散していく一方です。こうした問題を防ぎ、どうやって多様な個を大きな集団の力にしていくのかが、何事においても多様化が進む今、企業においても重要な課題です。

多様性こそが集団の活力になる

 そこで注目されるのが、「ダイバーシティー」とか「ダイバーシティーマネジメント」という言葉です。ダイバーシティーとは、「多様性」という意味です。集団を構成する個の多様性を尊重しながら、同時に個を束ねて集団の力(組織の力)に変えていくという発想です。
 
 では、集団における多様性とは何でしょうか。例えば、性別や年齢、言語、国籍、宗教といった基本的な属性だけでなく、専門性や技術、技能など様々なものがあります。こうした属性、さらには価値観、発想の違う人たちを上手に自分たちの集団の中に取り入れることで、目まぐるしく変わるビジネス環境に迅速かつ柔軟に対応していこうとするものです。つまり、多様性こそが実は企業の活力だという考え方なのです。

 ダイバーシティーマネジメントの研究と実践には、米国はかなり早い時期から取り組んでいます。米国は「人種のるつぼ」と言われるほど、様々な人種・民族が集まった国です。そんな事情があって、多様な個をどう生かせば強い集団ができるのか、国も企業もその研究が盛んになったのです。
 
 こうした動きは、必ずしも米国だけに限ったことではありません。「個」が重視される今、私たちの問題だとも言えるのです。もちろん、そこに正解があるわけではありません。企業によって課題も事情も歴史も違いますし、仮に正解があったとしても1つではありません。

石垣の積み方にヒントがある

 実際にどうするかは、それぞれの企業の問題ですが、ダイバーシティーマネジメントのイメージは、ちょうど城の石垣作りです。

 石垣は、大小様々な石を上手に組み合わせ、積み上げていくことで、大きな地震にも負けない強さを持つ壁です。城壁や民家の垣根、棚田の石垣や河川の防波堤などに見られます。ヒト一人ひとりを石の一つひとつに例えるなら、石の積み方や積み上げる石の選び方には、強い集団をつくるうえでの大きなヒントがあるのではないかと、私は思うのです。
 
 石垣に使う石は大小様々、しかも性質や形状も異なります。特に「野面石(のづらいし)」と呼ばれる自然そのままの石は、その違いやばらつきが目立ちます。しかし、一見して不揃いでも、一つひとつの石の違いを見ながら上手に組み合わせて積んでいけば、立派な石垣を作り上げることができます。石や環境が違っても、積み方に工夫をすればいいのです。

「谷積み」

「谷積み」は積み上げた石同士が押し合うため、多少の隙間があっても締め付けが増し、強度が高まる。3個の石で常に谷ができるように積む。出典:「FRONT」2月号

 積み方にも谷積み、布積み、乱積みなどいろいろありますが、その中でも「谷積み」という工法が参考になります(図を参照)。これは、下の石がつくる谷に上の石を斜めにはめ込んでいく積み方で、積み上げた石が常に斜め下の石に支えられる構造を取ります。積み上げた石同士が押し合うので、多少の隙間があったとしても締め付けが増し、強度が高まるのです。

 それは、属性や個性が異なる一人ひとりの個を組み合わせて強い集団をつくる時にも言えるでしょう。人も石のように一人ずつ違いますが、集団において無駄な人はいません。「積み方」次第で、集団を支える貴重な戦力になるのです。

コメント3件コメント/レビュー

何時も高いレベルの問題意識をお持ちになり、幅広い知識により齎された“石垣”の例えを興味深く読まして頂きました。小生は読後、“君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず”の孔子の話を思い出しました。孔子は、和とは各個人が自分の個性を生かして調和を生んでいることといっています。しかし、日本の現状は大企業では“小人”が約9割になることを小生の研究結果が示唆してます。ダイバーシティ・マネジメントを機能させるには、この状況の打破がないと、どうにもならない。やはり、自立した人間の育成が第一義だと感じています。(2007/03/20)

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いただいたコメント

何時も高いレベルの問題意識をお持ちになり、幅広い知識により齎された“石垣”の例えを興味深く読まして頂きました。小生は読後、“君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず”の孔子の話を思い出しました。孔子は、和とは各個人が自分の個性を生かして調和を生んでいることといっています。しかし、日本の現状は大企業では“小人”が約9割になることを小生の研究結果が示唆してます。ダイバーシティ・マネジメントを機能させるには、この状況の打破がないと、どうにもならない。やはり、自立した人間の育成が第一義だと感じています。(2007/03/20)

非常に興味を持っている分野なので参考にさせて頂きます。石に例えている部分がありましたが、どうかな?と思いました。人の場合、石に例えると形や素材が変わってしまうところ、変えることを視野に入れてマネージメントをしなければいけないので難しいですよね。例えるなら皮膚の構造と新陳代謝の仕方が似ているような気がします。私もいつも、例え話には苦労していますので、これからもどんどん良い例え話を披露してください。(2007/03/19)

基本的には筆者の論旨に賛成です。しかし、このダイバーシティー・マネージメントは、社会レベルだとかなり難しい問題でもあります。例えば、外国人が増えた日本社会で外国人犯罪が増えていますが、どのように人種の多様性をマネージすべきなのでしょうか?総論では聞こえが良いのですが、個別の問題に下ろして考えると、実は古典的な争点に帰着してしまう概念のような気がします。(2007/03/19)

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三品 和広 神戸大学教授