「宋文洲の傍目八目」

嫌な顧客と嫌な人間

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2007年3月29日(木)

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 あなたの会社には掃除のおばさんの「おはようございます」に対して返事もしない方がいませんか。あなたの部署には、出入り業者に妙に横柄な態度を取る方がいませんか。どうでしょうか。このような方々には、嫌な人が多いと思いませんか。

僕のある嫌な顧客

 以前、著名企業のX社に営業に行った時のことです。現場サイドの方々がソフトブレーンの製品を使用したいと言っているのに、最終責任者で執行役のA氏がなかなかOKを出してくれませんでした。しかし、ある日、彼からお酒を誘われました。

 酒席でA氏は、「自分がいかに本社のトップに好かれているか」「今の立場をどのようにして築き上げたか」を自慢した後、いきなり僕にこう切り出しました。「宋さん、おたくの製品を買ってあげてもいいよ。ただし、定価の2割なら」と。

 2割引ではなく2割です。つまり8割引です。こんな非常識な値段を言われた僕は絶句していると、A氏はお酒を足しながら言いました。「当社に使われること自体は大変な名誉で大いに宣伝になる。ほかで儲ければいいじゃないか」。

 「いくらなんでも2割というのは…」と僕は必死に訴えましたが、A氏は聞く耳を持たず、そのうえ横柄な態度を崩しませんでした。僕は屈辱をこらえながら「検討させてもらいます」と言って、その場を後にしました。

 実は、A氏と話した時点では、ソフトブレーンの製品は既に多くの著名企業に導入していただいていました。ですから、あえて知名度向上や宣伝のために売らなくてはならない状況ではありませんでした。営業をかけたのは、X社の営業現場のカイゼン活動を支援し、現場の負担を軽くするためでした。

 悔しさのあまり、泣きそうになりながら、僕は帰りのタクシーからX社の現場担当の方に電話しました。「○○さん。売るのを辞退してもよろしいでしょうか」。

 その1年後、A氏が突然会社を辞めたとの噂を聞きました。X社の人に理由を聞いてみると、なんと彼は女性の部下にセクハラを働いたため、問題がマスコミに漏れる前に辞めさせられたそうです。

 公式発表ではないので確認できませんが、恐らくその通りだと思います。A氏は善悪判断ではなく、会社の看板と肩書きの力に頼って他人との関係を扱うタイプです。女性の部下に対して同じ態度を取っても、少しもおかしくないと思ったからです。

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著者プロフィール

宋 文洲(そう・ぶんしゅう)
ソフトブレーン
マネージメント・アドバイザー

そう・ぶんしゅう

1963年6月中国山東省生まれ。84年中国・東北大学を卒業後、日本に国費留学する。90年北海道大学大学院工学研究科を修了。天安門事件で帰国を断念し、日本で就職したが、勤務先が倒産。92年ソフト販売会社のソフトブレーンを創業し、代表取締役社長に就任、99年2月代表取締役会長に。2000年12月に東証マザーズ上場、2005年6月に東証1部上場を果たす。2006年1月代表権を返上し取締役会長に、同年8月31日、「もう1人の社長」「陰の実力者にならない」として、取締役会長を辞任し、マネージメント・アドバイザーに就任する。(写真:川口 愛)



このコラムについて

宋文洲の傍目八目

日本人が意外と気づかない視点を、『ここが変だよ日本の管理職』『やっぱり変だよ日本の営業』などの著書でおなじみのソフトブレーンのマネージメント・アドバイザーである宋文洲氏が独特の切り口で紹介します。

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