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国の資産スリム化をチャンスに変える

2007年3月29日(木)

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 公的機関の民営化や政府資産の売却・証券化などで、国のバランスシートをスリム化する動きが本格化しようとしている。

 最近の報道(3月25日の日本経済新聞朝刊など)では、日本郵政公社や政策投資銀行などの政府保有株を売却することで、2015年度までに8兆円以上の収入が見込まれ、経済財政諮問会議でその具体的な工程表が議論される見通しだという。そもそも「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太方針)2006」では「国の資産を140兆円減らす」としており、その通り実現されれば、そのマグニチュードは相当なものだ。

 日本経済がここのところ持ち直してきた大きな理由の1つは、民間企業が、バブル期以降肥大化していたバランスシートの調整をようやく終えたことにある。残された「官」のバランスシートが健全化すれば、経済成長への重しがまた1つ取り除かれることになるわけで、この動き自体は非常に好ましいものだ。

国有財産の払い下げで成長した財閥

 さて、資産を売却する「官」の側ではなく、それを購入する「民」の側にとっては、どういう意味を持つのだろうか。

 歴史を振り返ってみれば、1884(明治17)年当時の大蔵大臣、松方正義が政府財産払い下げを積極的に進める政策を採ったことが、その後の財閥企業形成の大きな要因になったとされる。

 古川市兵衛は、院内鉱山、阿仁銅山の払い下げを受け、古川財閥を形作っていった。川崎正蔵は、兵庫造船所などを手に入れることで、川崎財閥の基礎を作った。当然、三井、三菱も、国有財産の払い下げで莫大なメリットを得た。官から民への大規模な資産移転は、往々にして企業家に大きな飛躍のチャンスを与えてくれる。

 現代の「官」のバランスシート改革でも、その機を捉え、非連続的な成長を遂げる企業が登場する可能性はあるはずだ。もちろん、明治時代のように破格の安値で事業を譲り受けるということはあり得ない。また、国のバランスシートから出てくる140兆円の資産の相当部分は、政府貸付金の証券化によるものなので、直接的に事業運営につながるものではない。

インフラを支えきれない地方自治体

 21世紀の官から民への資産移転で、本当に大きな意味を持つのは、恐らく国ではなく「地方」、そして単純な事業売却ではなく、「公的サービスの民間移管」だと思う。

 多くの地方自治体の財政事情は、既に危機的な状況にある。現在そこそこの財政状態にある自治体でも、今後、高齢化と人口減少が進むにつれ、一部の自治体を除き、今と同じレベルの公的サービスを提供し続けることは難しくなるだろう。

コメント2件コメント/レビュー

日本版コンパクトシティー構想はおそらく簡単には実現しないだろう。住民の意識改革が必要だが、ハコモノ行政を簡単に受け入れてきた同じ住人が、簡単に受け入れるとは思えない。また、住んでいた土地への愛着の捨てきれないだろう。(2007/04/01)

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「国の資産スリム化をチャンスに変える」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本版コンパクトシティー構想はおそらく簡単には実現しないだろう。住民の意識改革が必要だが、ハコモノ行政を簡単に受け入れてきた同じ住人が、簡単に受け入れるとは思えない。また、住んでいた土地への愛着の捨てきれないだろう。(2007/04/01)

コラムの本題からは少しずれてしまうが、公的セクターとの新しい関係の構築は、地方の民間企業の努力もさることながら、国の資源配分構造の変化努力によっても達成し得るという議論を耳にした。首都圏では、政府系から刊行される書籍や冊子、HPなどの数は膨大で、その製作費用の大半が首都圏に落ちる。この資源配分を変化させて地方に仕事を移管させると、地方の印刷会社や企画・製作会社は仕事が増えるので地方自治体の税収も増え(るはずである)、補助金を減らしても地方経済が成立する。地方への利益誘導と違う点は、今既にある事業の資源配分を変化させるだけで、低コスト化を図りつつ、地方活性化がなされる可能性がある点だ。仕事の減る首都圏の経済性はどうなるのかなど、考慮されていない点も多々あるが、なかなか面白い視点ではないだろうか。(2007/03/31)

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