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日本サムスン:「勝ちたいのなら戦うな」?!
 3年がかりで社員の発想を転換

  • 水野 博泰

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2007年4月12日(木)

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社員に意識変革を迫る3年プロジェクトを推進中。
「発想の壁」を崩し、持続的成長への先手を打つ。
ライバルを蹴落とすことに腐心するより、競争のない新市場を創り続けろ──。
韓国的でも、日本的でもない“サムスン流”に、新しい経営のヒントを求めた。

(日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)


 ライバルとの熾烈な競争に勝ち残るために、企業がすることはほぼ決まっている。コスト削減、価格引き下げ、短サイクルでの新商品開発と差異化、無理を承知のセールス合戦…。

 その結果、シェア争奪戦で勝利を収めたとしても、得られる利益は限りなく薄く、社員は疲弊するばかりで報われない。とはいえ、規制に守られた独占事業でもない限り、座して動かなければただ死を待つのみ。不毛だと分かっていても、突き進むよりほかに道がないというのが大半の企業にとっての現実である。

 しかし、韓国サムスングループの日本法人である日本サムスンの場合は少し違う。ライバルをベンチマークして対抗戦略を練り、実行して勝つことは基本動作だとしても、それだけでは市場の奪い合いを永遠に続けることになる。そこで、ライバル企業を打ち負かそうとする従来型発想から脱することを社員に教え込んでいるのだ。その要諦は、「ライバル企業と戦う必要のない新しい市場や価値を創り出し、そこで勝負しろ」という持続的成長のDNAを根づかせることにある。

競合ではなく顧客に向き合え

 具体的には、「CDC(カスタマー・ドリブン・チェンジ)」という名の社員教育プログラムを立ち上げて、3年という長期計画で社員の意識変革を促している。李昌烈(イチャンヨル)社長の肝いりで2005年にスタートした。

CDC(Customer Driven Change)」活動の流れ

 約20年前、李氏は数年間にわたって日本に駐在したことがある。当時は事業部門ごとに東京に拠点を構えている状態で、李氏はサムスン重工業の東京支店での勤務だった。各拠点を統合し、今の日本サムスンの形になったのは1998年1月のことだ。

 2004年1月に日本サムスン社長として再来日した李氏は、日本サムスンを取り巻く環境ががらりと変わっていることに衝撃を受ける。ずばり言ってしまえば、当時は二流、三流だった韓国のサムスンは今では世界の一流企業グループと見なされるようになった。取引相手もソニーをはじめとする世界の一流企業である。一流企業と一流企業の間を結び、日本と韓国の架け橋となる日本サムスンもやはり一流でなければ相手にしてもらえず、ついに存在意義を失ってしまう。李社長が抱いた猛烈な危機感が、社員の“育て直し”に取り組むきっかけとなった。

 CDC活動1年目の2005年は、約600人いる全社員が20~30人のグループに分かれて2泊3日の研修を受けた。5月から11月にかけて計20回実施された研修には、李社長自身が毎回欠かさず参加。顧客の成功があってこそ自らも成長できるというCDCの基本理念と自らが抱く危機感を繰り返し説いた。

 事業部の壁、日本採用社員と韓国本社からの派遣社員との壁、厳然としてある社内の壁を崩すためもあって、メンバーは混成とした。1日目はゲームなどに興じ、懇親会で盛り上がり肩をほぐす。本番は2日目と3日目だ。

 顧客中心、顧客視点で発想し行動するという基本理念を、手を変え品を変え教え込む。日本の取引先だけでなく、親会社である韓国本社も“顧客”と位置づける考え方には、最初は戸惑う社員もいた。また、ボランティア活動にも力を入れているのは、日本の「社会」も顧客であるという考え方からだ。

 ここまでなら、どの企業でもやっている「顧客中心主義の徹底」「CSR(企業の社会的責任)の推進」という変哲のない話にも思えるが、前述したようにCDCの本当の狙いは、「発想の壁」を取り払うことにある。CDC推進・専門T/Fチーム長の李炳夏(リビョンハ)氏はこう振り返る。

 「自分がやっていることは最高ではない。今のやり方よりも優れたものはいくらでもある。しかし、発想を少し転換するだけで全く違う景色が見えてくる。それを伝え、頭で理解するだけでなく心の底から納得してもらうことが大きな課題だった」

 その理論的基盤となったのが、仏INSEAD(欧州経営大学院)のW・チャン・キム教授らが提唱した「ブルー・オーシャン戦略」である。

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