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「群創」がうねるグーグルの社内生態系

  • 齊藤 義明

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2007年4月16日(月)

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 昨年の春、カリフォルニア州マウンテンビューにある米グーグル本社を訪れる機会がありました。グーグルには当時で5000人を超えるサーチエンジニアが集結し、日々、“群創”を繰り返していました。異才が触発し合い、新しいインスピレーションが生まれ、アイデアが揉まれ、淘汰と生き残りを通過して、最終的に事業となって世に出ていきます。

 この5000人が繰り広げる創造のダイナミズムとは、一体どのようなものなのでしょうか。サーチエンジニアたちをイノベーションにかき立てるものは何なのでしょうか。そして、それはマネジメントすることが可能なのでしょうか。以下では、グーグル社内の観察と、新規事業開発担当者へのインタビューを通して得られた、“群創”の仕組みに関する4つの「発見」をご紹介します。

「シェアードバリュー」でイノベーションの土づくり

 第1の発見は、個々人をイノベーション行動に駆り立てる「シェアードバリュー」の存在です。シェアードバリューとは、共同体としての共有する価値観のことです。グーグル本社の玄関ロビーを入って、まず目についたのは、横20メートルくらいはあろうかと思える細長いホワイトボードでした。ボードには、何色かのマーカーを使って、細かい文字でびっしりと「何か」が書かれていました。近くに寄って見てみると、左端に「グーグル・マスタープラン」と書かれています。

 そこには「どのようなメディアへ変容していくのか」(事業戦略)、「どのような人材が集まる組織にしたいのか」(人材・組織戦略)など、グーグルが目指す将来像とでも言うべきものが書かれていました。中には、「NASAの買収」などという突拍子もない計画も含まれていました。話を伺うと、これは経営幹部が設定した公式のビジョンではなく、グーグルのサーチエンジニアの有志たちが、よってたかって書いたグーグルの将来像だそうです。

 そこからは、社員全体が持つ野心や情熱のようなものが十分に伝わってきます。書かれた内容には、所々ユーモアが混ざってはいますが、決して青臭い夢物語には感じられませんでした。それなりにリアリティーを感じさせるのは、今のグーグルにはそれを実現しかねない力と勢いがあるからかもしれません。これは、外部に発信するとともに、内部を鼓舞する、優れたインターナルブランディングの方法だと思いました。

 グーグルでは個々のフレッシュな独創性を最大限に生かしながらも、組織として一定のベクトルを持った連続的イノベーションへと導いていく方法として、このように草の根的にビジョンを打ち立てる手法を用いています。これは、トップから一方向的に示されるビジョン以上に、社員のやる気を鼓舞し、大きなイノベーションに向けた共同体感覚を育む可能性があると感じました。

 イノベーションの種は一人ひとりの人材に宿っています。しかしその発芽力は、その人材が属する組織の価値観や環境によってかなりの程度左右されるものだと思います。グーグルにおけるシェアードバリューの存在は、個々人をイノベーション行動へと駆り立てる根本的な土壌として、重要な機能を担っているように見受けられました。これは農業でいうと、“土づくり”のようなものかと思います。

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