壁も仕切りもない大空間に1000人の社員が集い、働く。一つ屋根の下の大部屋経営を追求する再春館製薬所の西川正明社長にその心を聞いた。(聞き手は、日経ビジネス オンライン副編集長=水野 博泰)
日経ビジネス 4月2日号特別編集版「一つ屋根の下の“大部屋経営” 見せて聞かせて社員力を結集」と「フォトリポート」を併せてお読みください。
NBO このオフィスは、何から何まで全部見えてしまいますね。社員はもちろん、社長が何をやっているかまで。
写真:白川 湧
西川 はい。“見える”に加えて、“聞こえる”ということがとても大切なんですね。誰が、どのような打ち合わせをしているか、ある程度聞いていれば分かってしまいますから。情報共有が勝手にできてしまうのです。
NBO 誰がどんなことで褒められているか、誰がどんなことで怒られているか、そんなことも。
西川 分かります。
NBO 分厚い規則集みたいなものを配って、「よく読んでおくように」なんてことがいらないですね。
西川 必要な時には太鼓を「ドン、ドン」って鳴らすんです。そうすると幹部や手の空いている社員がすぐに集まってきて、実物を見て、情報共有して、即実践します。
会社は成長とともに形を変える“生き物”だ
NBO オフィスのレイアウトを柔軟に変えられるように工夫しているとか。
西川 会社って“生き物”だと思うんです。どの部門とどの部門が密であるべきかは、その時々で変わってくるのです。ですから、机はキャスターをつけた特注品で、レイアウト変更が容易にできるようにしました。昨日まで廊下だった場所が、今日は執務空間になる。いえ、廊下でさえ大事なオフィス空間なんです。
“情熱”とか“熱気”って、人から人へ移っていくものだと思うのです。打ち合わせや情報交換の際に熱気に満ちていると、その熱気が周りで聞いている人にも移っていく。だから、なるべく熱気の流れを遮断しないようにしてあげる。人の熱気をそこだけで終わらせず周りに移していけるような効果が、“ワンフロア”という形にはあると思います。
ただし、建屋は“箱”でしかありません。どれだけ良い箱ができても、働く人の意識や働き方が以前と一緒だったら、全く意味をなさない。今回、「薬彩工園」(同社の生産工場の名称)のすぐ隣に移転してきて、いわゆる製販がここに集約されたわけです。工園と一体化したのに、みんなが前のやり方と同じことをしていたら引っ越してきた意味がありません。
働く場所が変われば、仕事のやり方だって変わってくる。情報の流れだって変わっていくべきですし、やっぱり人が成長していかないといけない。人が会社を作っているのです。まず人が理解を深め合い、人が成長することによって、その結果として会社の発展がある。この順番を間違えてはいけませんよね。
NBO オフィススペースだけでなく、新社屋の隅々まで、社員の方々がいろんなアイデアを出して作られたようですね。設計事務所に丸投げ、豪華で最新鋭でピカピカというのとはかなり違う。
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