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「書生論」で始める長期ビジョン作り

2007年4月12日(木)

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 「過去10年を振り返り、世界経済における中国とインド両国の位置づけについて簡単に述べよ」という設問があったとしよう。かなりの数の人はこう答えるのではないだろうか。「西欧の経済発展から大きく取り残されていた中国・インドは右肩上がりの成長を遂げ、21世紀に入るとついに超大国の仲間入りをうかがうようになった」──。

 しかし、もっと長い時間軸、例えば1000年単位で振り返ってみたらどうだろうか。世界経済史を研究する蘭グローニング大学のアンガス・マディソン教授によれば、紀元1年頃は両国合わせて世界のGDPの59%程度を占めていたという。紀元1000年頃でも、まだ5割強に上る。

 従って1000年単位で見ると、「世界経済の中で支配的な立場にあった両国は、ここのところしばらくの低迷傾向からようやく脱し始めたものの、いまだ往時のレベルには達していない」ということになろう。「右肩上がりの昇り龍」ではなく、「V字回復の緒についたばかり」というイメージになる。時間軸の前提をどう置くかで、全く異なった結論が出てくるのだ。

役に立たない「中期計画」とは

 以前このコラムでも書いたが、最近、「長期ビジョンを作ろう」という企業のお手伝いをすることが多い。その中で感じることは、「企業として複数の体内時計」を持つことの難しさだ。言い換えれば、よほどうまくやらないと短中期・長期の両方の視点を統合した議論は行えない。いわんや、実行はおぼつかないということだ。

 多くの企業は、「中期計画」という名で3年から5年程度の計画を立案している。ただし実際には、直近の1~2年を振り返って次年度・次々年度の数値目標を立て、その後は「こうあれば、いいな」という絵姿を描いているだけだったりする。環境の変化が小さい時期にはさほど大きな問題はないのだが、自分のビジネスの土俵が大きく変わる場合には、これでは役に立たない。

 「そもそも自分が手がけているビジネスは、長期にわたってどう進化してきたのか」「それを支えた要素は何か」、そして「新しく勘案すべき大きな要素は何か」といった、少し青臭い「書生論」を大真面目にやってみる必要がある。

 具体的なイメージを持っていただくために、非常に単純化した例を挙げてみよう。仮に自動車産業の長期ビジョンを考えるのであれば、まず「人やモノを効率的に移動する手段」の1つである「クルマ」が、「T型フォード」以来どう進化し、産業としては何が勝ちパターンであったのかを真剣に復習してみる。そのうえで、環境問題と途上国で沸き上がる自動車需要の両方に対応する、というような大きな変化要因を整理し、確認していく。もちろん実際はもっと複雑だが、それぞれの業界・企業の置かれた状況に応じて、こういった「書生論」を繰り広げることが、長期ビジョンの第一歩となる。

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「「書生論」で始める長期ビジョン作り」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCGシニア・パートナー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経て現在に至る。事業戦略、グループ経営、M&Aなどの戦略策定・実行支援、経営人材育成、組織能力向上などのプロジェクトを手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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