• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

個人資産を担保に取らない方法

  • 神谷 秀樹

バックナンバー

2007年4月16日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本ではベンチャー企業の創業者や社長は、会社が融資を受ける際、個人保証を差し入れるのが通常となっている。それによって、事業が行き詰まった場合、このコラムで記したで紹介した「起業、あきらめてもたらす幸せもある」ように自己破産に追いやられる経営者が出てくる。

 米国の金融機関は事業そのものを自分で審査して投融資を決めるのが通常なので、創業者がよほどのお金持ちでもない限り、会社資産を担保に取ることはあっても、経済的には何の意味もない経営者からの個人保証を求めるということは、まずしない。同様に創業者の個人資産を担保に押さえるということも、しないのが通常だ。

 しかし、私は最近、創業者の個人資産を担保に押さえるかどうか迷う事態に出くわした。それはある技術型ベンチャー企業が第三者割当増資を引き受ける際に発生した。このファイナンスで引受先になるのは、既存株主の1つである米国のあるベンチャーキャピタル(VC)と当社がまとめたシンジケート団の2者。引受額は半分ずつ。ちなみにシンジケート団の中には私個人も含まれる。

 増資を計画しているベンチャー企業は多くの知的財産を保有するが、創業者はすべてのノウハウを特許などにしておらず、未来永劫、社外には出したくない知識はブラックボックス化している。その会社は現在、商用の試作品が完成し、販売に入った。

 投資家にとっては、事業が本格的に始まろうとしているのは喜ばしいが、不安は拭いきれないでいる。会社の技術のほとんどすべてを創業者が生み出しているので、彼にもしものことがあった場合に、会社が営業を継続できず、収益を生めなくなってしまうリスクを抱えているからだ。最悪の事態になれば、投資資金の回収が危うくなる。

キーマン・インシュアランスを使えない

 こうしたリスクを回避するためには、通常「キーマン・インシュアランス」と呼ぶが、会社の費用で主たる人物に生命保険を掛け、生命保険で回収できるようにする。今回のファイナンスでも当初、このキーマン・インシュアランスを増資の条件とすることが手続きを進めていく中で決まった。

 ところがこの会社の社長は過去に心臓病にかかった経歴があり、かつ大学時代フットボールの選手で体格が大きく、体重が重いことから、簡単には新規の保険に加入できないという問題に出くわした。

コメント3件コメント/レビュー

命よりも金が大事、金が払えないならそのときは命でというのは堅気の発想ではない。担保とは融資者と事業者がリスクをともに分かち合うためにあるべきであるが、現状は銀行をはじめとする金融業界は法規で過剰に保護されすぎている。実態としては、法の支配ではなく、法を使って金融業界がそれ以外のものを支配している。これは法治国家としては恥ずべきだろう。日本では多くの法律が一度制定されると半永久的に、時代が変わっても修正されることなく効力を持ち続ける現状があるが、立法府の怠慢である。(2007/04/29)

「神谷秀樹の「日米企業往来」」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

命よりも金が大事、金が払えないならそのときは命でというのは堅気の発想ではない。担保とは融資者と事業者がリスクをともに分かち合うためにあるべきであるが、現状は銀行をはじめとする金融業界は法規で過剰に保護されすぎている。実態としては、法の支配ではなく、法を使って金融業界がそれ以外のものを支配している。これは法治国家としては恥ずべきだろう。日本では多くの法律が一度制定されると半永久的に、時代が変わっても修正されることなく効力を持ち続ける現状があるが、立法府の怠慢である。(2007/04/29)

こういう文章を読むと、この人は言う事が立派なだけではない、本当に立派な人物だと感じ入ります。(2007/04/18)

神谷氏の行動と、「他者の人生>自分の投資ヘッジ」という価値観を全面的に支持したい。 記事中にあるように、『出資する金額は、たとえ失っても我が家の生活に響くような金額ではない』のが通常であり、そうあるべきだ。それを事業家の生活、時には生命と引き換えにしてまで回収しようとするのは人の道に反する。 また、事業家に(無限責任である)個人補償を要求するのは、社会の利益にもならない。再起すれば素晴らしい成果を挙げるかもしれない可能性を持った人材を失うことになるのだから。(2007/04/17)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

お客様が低価格に慣れてきている。

片岡 優 ジェットスター・ジャパン社長