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「買いたい」気持ちを狙い撃ち
機能と価値の“解体戦略”

ソースネクスト

  • 渡辺 和博

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2007年4月17日(火)

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商品やサービスの価値が希薄化している時代。
商品の機能を細かく分解することで価値を再構築しているのがソースネクストだ。
一見ただの安売りに見えるやり方の中に商品価値を明確にするという戦略がある。

(日経ビジネス オンライン副編集長=渡辺 和博)


 商品やサービスの価値とは一体何なのか。携帯電話の「0円商法」やディスカウント、ハンバーガーショップのセット販売、2枚買えば3枚目はタダといったDVDソフトの売り方など、モノ自体の価値が希薄化し、あいまいになっている。

ソースネクスト 松田憲幸社長 (写真:陶山 勉)

ソースネクスト 松田憲幸社長 (写真:陶山 勉)

 こうした“価値崩壊時代”に逆行して、商品の価値と価格を突き詰めることで成功している企業がある。個人向けのパソコンソフトを売るソースネクストだ。

 「お客様が買うか買わないか。その要素は、バリューとプライス。ここにしか成功のカギはない」。松田憲幸社長は確信を持って言う。

 同社の戦略は、高機能で高価格を目指すのではなく、用途や機能を絞った商品を低価格で大量投入するというもの。機能や価値をバラバラにして、個別に商品として成り立たせている。

 こうしたやり方は、一見機能切り売りの安売り戦略のようだが、その本質は、希薄化しあいまいになっている商品の価値を再定義し、自社の強みを明確にしていると見ることができる。

 もともと、パソコンソフトは形のないものだ。さらにそれを使う人によって、機能を十分発揮できるかどうかも変わってくる。このあいまいな分野で、自分たちが提供できる価値を明確に定義し直し、それをユーザーが納得する価格付けをするのがソースネクストの戦略だ。

「プライス」のあいまいさを排除

 従来の典型は、パソコンソフトの巨人、マイクロソフトの主力製品である「Office」だ。Officeは、ワープロソフトの「Word」や表計算ソフト「Excel」などが組み合わされた統合ビジネスソフト。様々な用途を想定した膨大な機能を備えている。

「ウイルスセキュリティZERO」発売でシェアは急上昇

「ウイルスセキュリティZERO」発売でシェアは急上昇

 これに対して、ソースネクストのヒット商品は、単純な用途とそれに必要な機能だけを持つ。例えば文書のPDFファイル作成だけを目的とした「いきなりPDF」や、携帯電話のデータ管理ソフト「携快電話」、タイピングの練習だけを目的とした「特打」などだ。

 こうした単機能型ソフトを500近くも揃えている。しかも価格は、主力製品の多くを1980円に固定している。

 ソースネクストの最大のヒット商品は、2006年7月に発売したウイルス対策ソフト「ウイルスセキュリティZERO」だ。3月末までに120万本(予想値)を売り、この分野でのシェアも大幅に伸ばした。ヒットの要因は、この分野独特の「プライス」に関するあいまいさを排除した売り方だった。

 ウイルス対策ソフトは、次々と生み出される新種のウイルスに対応するためのソフトを毎日のように追加し続ける必要がある。

 このためユーザーは毎年、使っているソフトの会社と契約を更新する手続きを取り、その都度、更新料を払っていた。

 ウイルスセキュリティZEROでは、この更新料をゼロとし、その代わり製品価格を従来の2倍の3970円とした。これによりバリューとプライスが固定して、「売り切り商品」となったことがヒットの要因だった。

“一芸ソフト”を500タイトル

発売するソフトは25のカテゴリーで約500タイトルにも及ぶ

発売するソフトは25のカテゴリーで約500タイトルにも及ぶ

 一つひとつの商品は限られた用途に向けて作られたものだが、これを幅広い分野に展開する点が、ソースネクストが他社と大きく異なるところだ。2007年3月時点で発売点数は約500。この4年間はほぼ毎年100タイトルずつ商品化している。

 この多品種展開の発端は2003年3月に始めたコモディティ化戦略である。現在も商品企画を担当するプロデュースグループの青谷征夫取締役は、「とにかく全ジャンルを網羅した100タイトルを揃えるのが目標だった」と当時を振り返る。ライバル会社をはじめ、様々なソフト開発会社を回り、ソースネクストのブランドで発売させてくれとアプローチした。

 低価格を売り物にする会社が“買い叩き”に来た、という反応が予想されるが、実態はそうでなかったと青谷取締役は言う。「他社でもやはり、ソフトの値段は高いと感じていた。ソフト市場に閉塞感もあり、賛同してくれる会社が多かった」と言う。

 結局、2003年度内100タイトルの目標は、9月に達成し、年度末には171タイトルを発売していた。

 この戦略でカギになるのは、あるソフトを発売するか否か、するならどのようなパッケージで何を売り物にするかの意思決定のスピードである。

 現在でも、この決定を下すプロデュース会議は毎週2回、開いている。そこで、一度に6~7タイトル、多い時には20タイトルもの発売の可否を決める。

コメント4件コメント/レビュー

ソースネクスト社の宣伝力は、素晴らしい。その宣伝力の一部を、製品そのものの粗悪さとカスタマーサポートのひどさの改善に振り向けられないものか。かつて2製品購入したが、その最近買ったほうの製品で、PCにブルースクリーンなどのトラブルが発生し、サポート電話もメールもつながらない、返信もないという状態だったため、やむなくアンインストールしてお蔵入りさせたという苦い記憶がある。買いたい気持ちをそそるのは結構だが、典型的な「安物買いの銭失い」からの脱却を強く求めたい。(2007/05/02)

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いただいたコメント

ソースネクスト社の宣伝力は、素晴らしい。その宣伝力の一部を、製品そのものの粗悪さとカスタマーサポートのひどさの改善に振り向けられないものか。かつて2製品購入したが、その最近買ったほうの製品で、PCにブルースクリーンなどのトラブルが発生し、サポート電話もメールもつながらない、返信もないという状態だったため、やむなくアンインストールしてお蔵入りさせたという苦い記憶がある。買いたい気持ちをそそるのは結構だが、典型的な「安物買いの銭失い」からの脱却を強く求めたい。(2007/05/02)

ウィルスセキュリティZEROユーザーですが、サポート面、品質面では妥協して使っているのが現状です。セキュリティソフトのビジネスモデルとしては先駆的で大変良いと思いますけれど。自宅には家族分含め複数台PCがありますが、家族用には使い勝手の良い他社製品を利用しています。更新料ゼロの発想が気に入って1ライセンス購入しましたので、このライセンス分は折り合いつけて利用は続けますが、安かろう悪かろうの域は出ていない気がします。(2007/05/02)

店頭で商品を手に取った時に、すぐ何の商品かはっきり分かりやすくする工夫に、大変賛同します。選びやすさは多種多様なパソコンソフトにおいて、買ってみたいという気にさせる力があると思います。(2007/04/17)

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