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我が社に“こだわる”ことはない

2007年4月19日(木)

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 圧倒的な存在感を誇っていた日本の家電メーカーに、どうも元気がありません。あのソニー(6758)でさえ「生徒」だった韓国のサムスン電子に追い越され、方向感を失ったままです。三洋電機(6764)は金融機関から事業の切り離しなどのプレッシャーを受けています。松下電器産業(6752)やシャープ(6753)も薄型テレビなど世界的な競争力を持つ製品を持ちますが、利益率や株主資本利益率(ROE)などの計数で見れば、数字の改善の余地は十分に残っています。

 一方、日本の自動車産業は絶好調です。トヨタ自動車(7203)は先生であったはずの米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き、世界一の自動車メーカーになるのは時間の問題です。ホンダ(7267)も相変わらず独自の強みを発揮しています。2007年3月期は減益予想とゴーン・マジックは勢いを失ってきたとはいえ、日産自動車(7201)も底力は十分に残っています。

 家電と自動車はどちらも日本を代表する産業ですが、いつのまにか正反対の状況になったのはどうしてでしょうか。
 
 細かい要素は多数あると思います。両者とも高い技術力と設備装置を整備する資金力が必要ですが、自動車の方が産業の参入障壁は高く、電機産業に比べれば競争過多には陥りにくい状況にあります。それに対して、家電産業は韓国や中国などの新興国の企業から激しい追い上げに遭い、価格競争は厳しさを増しています。

 しかし、グローバルな競争の拡大は自動車産業でも、同様に起きています。中国などの新興国のメーカーはこれからの段階ですが、韓国車などは世界一の市場である米国でプレゼンスを高めています。

 それぞれの産業の特性による違いはあるものの、大まかに見れば、同じような競争環境にある中で、家電メーカーと自動車メーカーに差が見えている一番の要因は、産業集約化の進展の違いにあると僕には見えます。

 国内の自動車会社の数は減ったわけではありませんが、マツダ(7261)、日産自動車、三菱自動車(7211)は欧米の自動車グループと資本提携を進め、日野自動車(7205)やいすゞ自動車(7202)、ダイハツ工業(7262)などはトヨタとの連携を強めています。

 一方で、日本の家電メーカーは、市場が成熟化して久しいのに、こういっては申し訳ないですが、三洋電機のような会社までいまだに事業を続けています。白物家電は技術革新で確実に性能や品質はよくなっています。さらに省エネルギー、環境対応で着実に買い換え需要を掘り起こしています。情報家電という新しい分野も広がっています。

 それでも日本の家電メーカーの収益力が盤石とは言えないのは、成熟市場の国内で過当競争が続いていることが大きな要因と思います。

過剰に存続にこだわるのはなぜ?

 マンションの一室から起業した僕には、「企業は存続がすべての始まり」ということがよく分かります。社員の皆が帰宅し、1人で一息つくと紙1枚、鉛筆1本に創業の苦労が滲み、愛着と責任感がわき上がります。

 しかし、社員や顧客にとっては、僕が創業した会社はあくまでも多くの選択の中の1つに過ぎません。辞めていく社員と競合他社の製品を購入する顧客を見て、淋しい思いをしたのは確かですが、そのたびに、会社を存続させる意義について考えさせられました。

 業績が長い間、振るわないような会社は、自社が抱え込んでいる資金と人材などの社会資源はいったん返上し、さらに効率よく資金や人材を活用できる企業に吸収してもらう。それも大きな社会貢献と言えます。

 ほとんどの企業経営者は、営利活動を通じて何らかの形で社会貢献したいと願っています。その社会貢献には、社員を一生、会社が面倒を見ることも含まれているのだともいます。しかし、ここで冷静に考えなくてはいけないのは、社員が安心して同じ会社で働けることも1つの社会貢献なら、自社の有能な人材を今よりさらによい環境で働いてもらえるようにすることも貢献の1つです。

 だから僕が会社を経営していた時は、自分の会社が他社を合併することだけではなく、他社に合併させることも選択肢として常に考えていました。実際、経営が軌道に乗った5年目の時、証券会社に会社の吸収合併の仲介をお願いしました。そして合併して相乗効果がありそうな某店頭公開企業を訪ねました。

 レインボーブリッジが眺められる社長室に案内されましたが、東京湾の美しい風景に反してオーナー社長に犯人尋問のような質問を浴びせられました。

 その社長さんは僕に「君はなぜ自分が創業した会社を売るのか」と質問しました。それに対して僕は「ずっと経営する志も才覚もないので、人様に迷惑をかける前に経営を譲りたいと思います」と答えました。「何か会社に不都合なことが隠れているのでは」と問われたので、僕は「財務諸表の通り、利益が出て借金がゼロです。社員と顧客とのトラブルもありません」と答えました。この後に言われた言葉に、僕は仰天させられました。

コメント42件コメント/レビュー

我が社にこだわらない経営者は経営者や経営理念に共感して入社した人材に対する裏切りではないでしょうか?宋さんのコラムは毎回「目先の損得」に振り回されすぎていないでしょうか。(2007/04/27)

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我が社にこだわらない経営者は経営者や経営理念に共感して入社した人材に対する裏切りではないでしょうか?宋さんのコラムは毎回「目先の損得」に振り回されすぎていないでしょうか。(2007/04/27)

宋さんのエッセイを読んで感じるのは、誰もが気が付かないほど当たり前になっていることを、ちょっと外しているように思います。わが社でなくても良い。だが、わが社でなければ給料が入らず、暮らしていけない(かもしれない)。 この視点はいかがでしょう。(2007/04/26)

宋さんはいつも断定的過ぎる、一面しか見ていない、当たり前のことを今更のように言っている、とコメントする人が定常的にいますが「こういうこともあるし、そういうこともある」「一概に言えない」というようなことばかり言って、それで結局あなたはどう思っているの?と思わせる人、或いは当たり前のことも言えない人がいかに多いか。私もあえて断定的な物言いをして誤解をされることが多いですが、宋さんのコラムはシンプルな言い方で当たり前(本質的)だから面白いのです。表層だけを気にして、本質を見ない人は損をしていると思う。(2007/04/24)

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