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会社を生かす根

  • 神谷 秀樹

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2007年5月14日(月)

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 「やけ果てし庭の銀杏の根元より、生命の若葉萌え出しかな」

 これは私の祖父(永井威三郎)の兄、鷲津貞二郎(母方を継ぐ)が関東大震災の後に、病に倒れ病床で臥していた時に歌った句である。貞二郎は震災で牧師をしていた教会、そして自宅共に焼失した。そして、病に倒れ、まもなく神のもとに召された。

 この歌は、すべての物が焼けてしまったけれども、地表の下にしっかりと根を張っていた庭の銀杏からは、新しい芽が出てきた、ということを詠んだものだ。「信仰するキリスト教が日本で途絶えることなく広がってほしい」という願いとも重なっていたのだろう。

 早稲田を卒業して銀行に入るところまで同じ道を歩んでいたせいか、私は貞二郎の生き方をどこか意識することがある。この歌も、考えてみると私の今の生き方を意識させられるものがある。

人が替わっても揺るがないもの

 以前紹介したように私は1992年、現在の会社であるロバーツ・ミタニを創業した。当初、私とブルース・ロバーツがニューヨークで始めた当社も現在は、10人の社員と数人の顧問が在籍し、事務所もニューヨーク、東京、ソウルの3カ所に広がった。

 この間何人かの人が辞めていき、また入ってきた。人は入れ替わっている。最も新しいメンバーは韓国在住のクリス・リーだ。クリスは当社に来るまでは顧客であるオスコテックのCFO(最高財務責任者)だった。オスコテックはバイオベンチャー企業で今年1月に公開した。クリスは一応の役割は果たしたということで、当社に移ってきた。

 顧客企業のCFOだった人物が当社に来たというのは実は2人目で、もう1人は現在ニューヨークにいるリッチ・ドライアンスキーだ。リッチは元々ローンプラン・ローラーという製薬会社大手の副社長を務めた後、アヴィッドという抗ウイルス剤を開発するベンチャー企業のCFOに移った。アヴィッドは当社の顧客であった。

 アヴィッドは別の抗ウイルス剤の会社に売却することとなり、リッチは次のベンチャーであるオクタジェンを創業した。血友病治療薬を開発するオクタジェンは、フランスのイプセンという上場会社に全世界の販売権を譲渡することに成功した。この譲渡でリッチもベンチャー企業を育成するという点での仕事に一区切りがついた。今度は経験を生かし、他のベンチャー企業の育成に当たりたいとして当社に来た。

 クリスとリッチという以前は顧客企業にいた幹部が当社に移ってきたことは、顧客が我々の仕事を評価してくれた証しとして感じている。その一方で、当社から人が去っていったことも確かだ。それも有能な人が。そのことは、経営者としては今の会社の運営に課題があるということを認識させられた。人は変わる。中には一緒に働き続けることの出来ない人も出てくる。それは仕方のないことだ。しかし、当社のようなLLC(有限責任会社)という人が資本の会社形態では、特に人材の入れ替わりは会社の経営を大きく左右する。それだけに、人材の確保は経営の重要な命題だ。

アイデンティティーを失っては元も子もない

 ただし、ここで注意しなくてはならないのは、有能な人を引き止めるのに、会社のアイデンティティーを見失ってはならないということだ。

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