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“嘘”の狼少年を信じる時

2007年4月26日(木)

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 「村の少年は、狼の恐ろしさを、聞いていました。少年は時々、猪や狐がやって来たのに勘違いして『狼が来た!』と叫びました。最初は少年が叫ぶたびに村人はみな一目散に逃げましたが、当然、狼は来ません。少年が叫んでは狼が来なかったことを繰り返すうちに、村人は腹を立て、彼を嘘つきと決めつけました」

 「ある日、また少年は狼の気配を感じました。いつものように『狼が来た!』と少年は懸命に叫びましたが、もはや村人の誰もが逃げようとしませんでした。しかし、今度は本当に狼が来ました。村人に被害はありませんでしたが、家畜がやられてしまいました」

 この話は僕が日本で知った狼少年を参考に作った話です。2つのポイントが異なります。1つは、少年は「嘘」ではなく、「思ったこと」を言いました。もう1つは、被害者は少年ではなく村人でした。

狼少年と「中国株式市場」村

 先日、北京の友人に電話をかけたところ、電話口に出た彼はえらく不機嫌でした。「どうしたのか」と尋ねると、ガールフレンドと喧嘩したと言うのです。その原因は、彼が「買うな」とアドバイスした株がストップ高になったことで、「儲け損なった」とガールフレンドに責め立てられたそうです。

 この友人のように一部の経済学者は、昨年末頃から中国株のバブルを指摘し、値下がりの危険性を警告してきましたが、相場は強気のままでした。僕も中国のいろいろな友人に、「もう手仕舞いした方がいい」と注意していましたが、注意しても相場は上昇の一途で、いつのまにか僕は狼少年になってしまいました。

 冷静に考えると、会計の透明性やエネルギー問題が経済に与える影響を考えても、中国企業の株価がPER(株価収益率)40倍近い水準にあるのは明らかに異常です。昨年末から中国の銀行店頭では投資信託を買い求める人々が行列をなし、行列には収入が多くないであろう家政婦さんの姿も見受けられることが中国では話題になりました。OLがカードで借金して株を買うことも珍しいことではありません。

 異常はほかにも見られます。事業が中国内に限られ、サービスレベルも世界のそれにほど遠い中国工商銀行の時価総額は一時、世界一になり、現在も金融機関では世界2位にとどまっています。

 こうした状況を見ても、中国の株式市場はバブル、もしくはそれに近いところにあると分かるはずです。しかし、世界に開放されていないこの“村”では、狼を見るまでいくら警告しても嘘だと決め込んでいる“村人”が多いようです。

痛い体験を好まないならば

 1980年代、バブル崩壊で痛い経験をした日本の友人が、2年前から投資を再開しました。その姿勢は、堅実そのものです。見込みだけで買わず、状況をよく勉強、分析し、そして世界中に分散投資しています。

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