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あの技術が期待外れに終わった理由

本当に「やらなきゃよかった」のか

  • 池澤 直樹

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2007年5月14日(月)

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 「失われた10年」と呼ばれている時期、1990年代の中頃の話である。製造業の経営企画関連に従事されている方々を中心とした集まりがあった。私は製造業に属しているわけではないが、声をかけていただき、参加させていただいた。

 雑談していたところ、研究所についての厳しい意見が出てきた。例えば「うちの研究所は、この10年、事業の種になるような成果を全く上げていない」という意見である。この手の意見は今でもよく聞かれるが、当時は製造業の事業環境が非常に厳しい時代である。その場では、研究所に対する批判的な意見が飛び交っていた。

 そこにいたメンバーは経営企画やマーケティング関連部署に属している人がほとんどで、研究所に所属している人、あるいは以前にそのような立場にいた人は皆無だった。従って研究所についての悪口が言いやすい場だった。中には「そもそも研究所は必要ないのではないか」などといった過激な意見もあった。

「電子冷蔵庫」時代は来なかった

 研究所だけではなく、研究者についてもいろいろな不満の声が上がった。特に多かったのが、「研究者は好き勝手なことばかりやっていて、ちっとも会社に貢献しない」という意見である。研究者は自分の研究について、「この研究で新しい事業が生まれ、大きな利益が得られる」と主張する。その主張を信じて会社は資金を投入する。しかし、結果は期待外れだったといった事例は枚挙にいとまがないというわけだ。

 その時に出された例が、次のようなテーマである。

・ペルチエ素子
・磁気バブルメモリー
・ミリ波導波管
・レーザーカード
・ホログラム
・垂直磁気記録
・コヒーレント光通信
・ジョセフソンコンピューター
・第5世代コンピューター
・セラミックスエンジン
・光磁気記録
・高温超伝導

 これらは技術として消え去ってしまったわけではない。しかし、いずれも期待されたほどの結果を得ることができなかった。研究所の外から見たら、いわば「やらなきゃよかったテーマ」である。

コメント16件コメント/レビュー

で、「やらなきゃよかった」んですか?この標題では、その答えが必要になるのでは。(2007/05/22)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

で、「やらなきゃよかった」んですか?この標題では、その答えが必要になるのでは。(2007/05/22)

この文を読んだときに非常に違和感がありました。「1990年代の中頃に...、やらないほうがよかった技術開発」ということで、いくつかの技術があげられていました。ただ、その中には、現在、芽が出ているものもあります。たとえば垂直磁気記録は実用化の域に達し、高温超伝導は実用に使われている事例があります。この例があげられたところで技術の評価は非常に難しいという話になるのかと思ったら、コミュニケーション不足という、私には表面的な結論になってしまっているように感じます。技術の評価やそれをその企業で実用化し、収益につなげられるかという判断の難しさが本質ではないでしょうか。(2007/05/22)

研究の当たり外れの確率は他の方が既に指摘されている通りです。問題は、投資側がそれをきちんと認識していて「100分の1」を引き当てる努力をしているか、当たらないとわかったときに引き上げ時期を見極めていたか、ということだと思います。米国では投資ファンドにも理系博士号を持った担当者がいて、その研究の将来性を検討した上で適正なお金を出します。研究内容がわからないからといってお金と口だけ出して責任を研究者に押し付けているようでは、経営者失格ですよ。(2007/05/16)

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